2024年のテーマは「みがき上げる」――FMVのふるさと「島根富士通」は何を目指すのか?(2/3 ページ)
FCCLの子会社として、同社と富士通のPCの生産を担う「島根富士通」。神門(ごうど)明社長は、2024年度を「いま一度、基礎を徹底することで、ものづくりをブラッシュアップ」する1年にするという。そんな同社の取り組みに迫った。
生産台数を増やしつつ、スマートファクトリー化も推進
島根富士通は、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の子会社として富士通ブランドのPCの製造を担っている。2024年度、同社はPCの生産台数を前年比1%増となる156万台と見込む(2023年度実績は155万台)。また、売上高は4%増、営業利益は2%増を目指している。
神門社長は「2025年度以降は、生産台数が一気に増加する。2024年度は、それに向けた体質改善の1年とし、カイゼンしなくてはならない箇所は、ラインを止めてでも見直しを図る姿勢で臨む」と意気込む。
島根富士通のPC生産能力だが、近年では2020年度、同社としては過去最高の約240万台を達成している。しかし、皆さんご存じの通り、ここ数年の国内PCの市場は需要の低迷が続いている。それに合わせて、同社のPC生産台数も減少している。
同社では、PCの需要が落ち込んでいる“今”こそ、カイゼンの好機だと捉え、生産ラインの中に入り、無駄取りの作業を進めるなど、ものづくり改革でも“原点回帰”を促進し、ものづくり体質の強化を図る考えだ。
一方で同社は、スマートファクトリーの進化に関する取り組みも手綱を緩めずに進める方針だ。
具体的には、AGV(無人搬送車)による部品供給をノートPCの全生産ラインに展開したり、混流ライン(※2)でもPCのボディーへのラベル貼り付けを自動化したり、といった取り組みを開始している。さらに今後は、協働ロボット(※3)の利用領域の拡大、AMR(自律走行搬送ロボット)の導入、パレタイズロボットの導入などを通して自動化率を向上。さらに、データの活用率の向上も図るという。
(※2)異なる種類の製品が混ざり合って流れてくる生産ライン
(※3)人と協調して稼働するロボット
神門社長 これまでは、自動化できる箇所からロボットの導入などを始めていた。今後は、導入したロボット同士をつなげていく必要がある。また、搬送の自動化は進展したが、今後は組み立て工程を中心に、自動化装置のインライン化に取り組むことになる。
生産ラインにおける自動化率は、2023年度の実績で37%を達成したという。2024年度は、これを41%まで引き上げる目標を掲げている。また、データ活用率は、2023年度の26%から32%に向上する計画だ。データの活用は、特に「生産性向上」「品質向上」で進めたいという。
神門社長 せっかくデータを取得しても、今までは活用しきれていないという課題があった。この改善が、2024年度のテーマの1つとなる。同年度中には、プリント基板工程における自動倉庫の導入と、リール部品などの自動供給も検討していく。
(これを実現できれば)プリント基板工程での自動化率は80%程度にまで高まり、かつて約200人が従事していた同工程の人員を、70人台にまで削減できるので、余った従業員をより付加価値の高い業務にシフトできる。プリント基板ラインにおけるデータ活用も加速したい。
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