なぜ“まだ使えない”Apple Intelligenceを推すのか? 新製品から見えるAppleの狙い:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/5 ページ)
Appleが、毎年恒例の9月のスペシャルイベントを開催した。順当に発表された新型iPhoneでは、生成AIを生かした「Apple Intelligence」が推されてるのだが、当のApple Intelligenceは発売時に使うことはできない。なぜ、発売当初に使えない機能を推すのだろうか。新製品の狙いを見ていこう。
誕生10周年の「Apple Watch」は久々のメジャーアップデートに
誕生10周年を迎えた「Apple Watch」には、久々にメジャーアップデートが施された。筆者は初代モデルから取材を続けてきたが、記憶の限り「Apple Watch Series 4」以来約6年ぶりの大幅刷新となる。
「Apple Watch Series 10」は、ボディーが従来比で10%の薄型化と軽量化を果たした。このことで、Series 9まで共用できた時計全体を覆うストラップやケースなどは利用できなくなる。その代わり、装着した際の心地は大幅に良くなったようだ。
しかし本機は、単に薄く軽くなっただけではない。ディスプレイサイズは先代比で最大30%拡大された。従来通り「42mm」と「46mm」の2サイズで展開されるが、大きい方(46mm)は、わずかながらApple Watch Ultraよりも大きな画面を備えている。
ディスプレイの視認性も向上し、角度をつけて見た場合にSeries 9よりも最大40%明るく見える広視野角OLED(有機EL)を採用している。この新しいOLEDは、省電力になったことで常時点灯モード時でも毎秒1回の更新が可能となり、スリープ時でも秒針の表示が可能になった。
薄型化に寄与しているのは、新しい金属製の裏ぶただ。この裏ぶたにはアンテナが統合されており、従来は2つのレイヤーで実現していた部分をまとめたことで薄くなったという。
同時に裏ぶた自体も強化され、50mの防水性能は維持しつつ、大きく効率的な充電コイルを搭載することで、充電速度も向上しているという。
Series 10では、新たに「深度計」と「水温センサー」が搭載され、最大6mまでの水深と水温を測定できるようになった。これにより、スイミングやシュノーケリングなどの水中アクティビティーをより詳細に記録できるようになった。ダイビングともなると引き続きApple Watch Ultraが必要だが、ほとんどの用途には通常モデルで対応可能になる。
健康機能の面では、2024年内に予定しているアップデートによって「睡眠時無呼吸症候群」の検出が可能となる。加速度計を使用して睡眠中の呼吸障害を監視し、30日間のデータを分析して中程度から重度の睡眠時無呼吸の兆候を通知するという。
この機能は臨床研究で検証され、米FDAや日本を含む各国規制当局の承認を近く取得する見込みだ。なお、この機能はダブルタップ対応の加速度センサーを生かして実装されるため、「Apple Watch Series 9」や「Apple Watch Ultra 2」でも利用できる。
Series 10に搭載される「Apple S10 SIPチップ」は、機械学習タスクを高速で処理するために、4基のNeural Engineを搭載している。これにより、ダブルタップなど推論処理を必要とする多くの機能がスムーズに動作する他、同じくAIを活用して通話品質を向上させる新しいノイズ抑制機能も搭載されるという。
睡眠時の有用性がアップしたことでバッテリー性能への要求も高まるところだが、従来の「最長18時間」という駆動時間はそのままだが、その代わりに充電速度が向上している。公称では30分の充電で容量の80%まで充電できるとのことだ。
従来のApple Watchはケースが「アルミニウム」か「ステンレス」だったが、Series 10ではステンレスケースが廃止され、代わりに「チタニウム(チタン)」ケースモデルが用意される。チタンケースは高級感と軽量性の両立を実現している。
アルミニウムケースについては、光沢仕上げの「ジェットブラック」カラーが追加された。このカラーはシリカ研磨による光沢仕上げに30層ものイオンプレーティング加工、さらにDLC(ダイアモンドライクカーボン)コーティングを採用した特別なカラーだ。
チタンケースの採用に合わせて、純正のステンレスストラップは、チタンモデルのカラーに合わせたラインアップに一新される。
なお、Apple Watch Ultra 2は継続販売されるが、新たに「ブラックチタニウム」が追加され、チタン素材を用いたより高級なミラネーゼループを採用したモデルも用意されている。
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