ワコムの板タブ「Intuos Pro」が16年守ったスタイルを捨てて大進化! その実力をプロがチェックしたよ:ある日のペン・ボード・ガジェット(5/5 ページ)
ワコムが、ペンタブレット「Intuos Pro」シリーズを大幅刷新した。新モデルの出来具合はどうなのか、プロ絵師のrefeiaさんが試したよ。
キーとダイヤルの使いやすさ
先に述べた通り、誤爆しづらい上にキーボードから近い、というキーとダイヤルは恩恵がありました。自分は以前、タブレットのキーは「ぜんぶ無効化」派でしたが、これなら使う気になります。
主にキーボードを使いながら、近い方のキーにはキーボードでは押しにくい装飾キーの組み合わせや、遠くにあるEnterキーなどを、遠い方のキーにはたまに使いたいキーボードマクロなどを割り当てると快適に使えました。
ダイヤルはクリック感があるので快適に操作できるにはできますが、イラスト製作においてダイヤルで有利になることは少ない、という意見は変わりません。ダイヤルに割り当てられるような操作は、装飾キーやキーボードショートカットとペンドラッグを使った操作の方が素早く操作できるケースが多いからです。
とはいえ、入門者にとってはダイヤルの方が覚えやすく、直感的でもあります。イラスト製作以外では用途も多々あるでしょうし、付いていてうれしいのは間違いないです。
まとめ
それでは、まとめていきましょう。
新Intuos Proは、長年に渡って守られてきたIntuos上位機のフォーマットを破って生まれた、新しい時代の板タブ上位機を象徴するデバイスです。
Cintiq ProやMovink 13に続いて、ワコムの新しいプロラインのモダンなデザインと、プロペン3の優れた描き味を受け継いだ初の板タブでもあります。ビジュアルも良く、感触や剛性感もよく、性能も良い、と、所有欲や高揚感を満たしてくれるデバイスでもあります。
一方で、芯の摩耗が低減された代わりに描き味も従来の「紙」志向からやや離れており、タッチ機能も削除されています。従来機の描き味に依存する制作スタイルだったり、タッチを利用していたりした人は、ワークフローが損なわれないかを気を付けて検討してください。
また、モビリティーを重視した仕様のため、検知範囲外の余白が小さいなどのトレードオフもあります。据え置き利用を最重視するならば、サイズアップも含めて検討してもよいでしょう。
といったところで。
いやー、良いモデルですね。製品の更新スパンがかなり長いことを考えれば丁寧に作るのは当然といえば当然なのですが、大きく変化したわりにはデメリットに感じる面が軽微で、新たな価値を提供しながら良いところに収まっているように見えます。
業務で6年だか8年だか使うことを考えれば、主力機材が10万円以下というのはタダみたいなものですが、それでも板タブとしてはなかなかのお値段にもなりました。ところがどっこい、例によって実はUSストアでは価格据え置きで、新モデルが値上げしたようにみえるのは為替が反映されただけのようです。
そして「Intuos Pro Largeが8万円台か〜。それだと11万円台でプロペン3で有機ELの奇麗な画面つきで検知エリアも結構広いMovink 13はめっちゃお得じゃない!? 買っちゃおっかな???」そんな声が脳内に響き渡っています。
コワイ!
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