充電やデータ転送に使う「USBケーブル」選びで大切な3つのポイント 通信速度や電力量はどうやって確かめる?(1/2 ページ)
スマートフォン、タブレットやPCの充電やデータ転送などに使うUSBケーブル。安いものもあれば高いものもあります。適切なものを買うにはどうしたらいいのか、知っておくべき知識をチェックしましょう。
スマートフォンやタブレット、PCの充電に「USBケーブル」を使っているという人も多いと思います。いわゆる「100円ショップ」で売っている税込み110円のケーブルもあれば、家電量販店やECサイトを見ると数千円もするケーブルもあります。率直にいって「安いUSBケーブルと高いUSBケーブルの違いが分からない」という人もいると思います。
価格の高いUSBケーブルには、高い理由がきちんとある……のですが、安い/高いに関わらず、適切なUSBケーブルを買うためにはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
ポイント1:端子(コネクター)の形状
まず、つなげる機器が使っているUSB端子(コネクター)の形状を確認してください。端子の形状は大まかに分けると以下の3種類があります。
- USB Type-A:ホスト(制御する側の)機器用の端子
- 「Standard(標準)」「Mini(ミニ)」「Micro(マイクロ)」の3サイズがある
- 現在使われているのは、ほとんど「USB Standard-A」(標準サイズ)
- データ通信速度によって内部のピン数に違いがある
- USB Type-B:ゲスト(制御される側の)機器用の端子
- 「Standard(標準)」「Mini(ミニ)」「Micro(マイクロ)」の3サイズがある
- 少し前のスマホでは「USB Micro-B」、さらに前は「USB Mini-B」が使われていた
- データ通信速度によって形状に差異がある
- USB Type-C:ホスト/ゲスト兼用の端子
- サイズは1種類のみで、裏表関係なく接続可能
- USB規格以外の通信を行う「Alternate Mode(Alt Mode)」という仕組みがある
- データ通信速度によって内部のピン数に違いがある
これらの端子は、データ通信速度によって内部のピン(と配線)の数が異なりますが、USB Standard-A(Type-A)/Type-C端子は外観からデータ通信速度を見分けるのが困難です。見分け方については、次のポイントで併せて紹介します。
ホスト機器用のUSB Type-A端子は、事実上標準サイズの「USB Standard-A」のみ存在すると考えてよいです。写真はUSB 3.2 Gen 1 Standard-A端子ですが、USB 2.0 Standard-A端子よりも接点数が多くなっています(USB 2.0 Standard-A対応機器もつなげられます)
ゲスト機器用のUSB Type-B端子は、標準サイズ(左)、Miniサイズ(中央)、Microサイズ(右)の3種類が用意されています。写真はいずれもUSB 2.0規格のもので、USB 3.2 Gen 1/Gen 2用の端子は追加の信号線を用意するために形状が異なります
USB Type-C端子はホスト/ゲスト共通の形状で、裏表がありません。写真はThunderbolt 4(USB4 Gen 3x2)端子ですが、USB Type-A/Bと比べると端子形状から通信スピードを見分けることは困難です
ポイント2:データ通信速度
次に、つなげる機器が対応しているUSB端子のデータ転送速度をチェックしてください。速度の規格は以下の通りです(USB 2.0よりも過去の規格と、USB 3.2 Gen 1x2は割愛しています)。
- USB 2.0
- 最高通信速度は480Mbps
- 「Hi-Speed USB」とも呼ばれる
- エントリー/ミドルレンジのスマートフォンや一部のPCで使われている
- USB 3.2 Gen 1
- 最高通信速度は5Gbps
- もともとは「USB 3.0」という規格名で、「USB 3.1 Gen 1」も同義
- 「SuperSpeed USB」とも呼ばれる
- 最近は「USB 5Gbps」と呼ばれることもある
- USB Type-A/Type-B端子では端子やコネクター内部を原則として青く塗っている(例外あり)
- USB 3.2 Gen 2
- 最高通信速度は10Gbps
- もともとは「USB 3.1」という規格名で、「USB 3.1 Gen 2」も同義
- 「SuperSpeed+ USB 10Gbps」とも呼ばれる
- 最近は「USB 10Gbps」と呼ばれることもある
- USB Type-A/Type-B端子では端子やコネクター内部を原則として青く塗っている(例外あり)
- USB 3.2 Gen 2x2
- 最高通信速度は20Gbps
- 「SuperSpeed+ USB 20Gbps」とも呼ばれる
- 最近は「USB 20Gbps」とも呼ばれる
- 端子形状はUSB Type-Cのみ
- USB4 Version 1.0(USB4 Gen 3x2)
- IntelとAppleが提唱した「Thunderbolt 3」規格をベースに誕生
- 最高通信速度は40Gbps
- 最近は「USB 40Gbps」とも呼ばれる
- 端子形状はUSB Type-Cのみ
- USB4 Version 2.0(USB4 Gen 4x2)
- USB4 Version 1.0をアップデートした規格
- 最高通信速度は80Gbps
- 「非同期モード」では「片方向のみ最大120Gbps(反対方向は最大40Gbps)」も可
- 「USB 80Gbps」とも呼ばれる
- 端子形状はUSB Type-Cのみ
基本的には「USB 2.0まで」「USB 3.x」「USB4」で区分すれば大きな問題にはなりませんが、正規のUSB機器/USBケーブルには規格に応じたラベルが付いているので、それを頼りにケーブルを選ぶことをお勧めします。ただし、高速な通信に対応するケーブルほど高価になります。
なお、USBのデータ通信速度は原則として遅い機器/ケーブルに合わせられます。例えばUSB 3.2 Gen 2x2対応機器同士でも、USB 2.0規格のケーブルを使うと通信速度はUSB 2.0相当です。逆に、USB 2.0対応機器同士をUSB4 Gen 3x2ケーブルでつないでも、通信速度はUSB 2.0規格相当に制限されます。
USBデバイスやUSBケーブルが対応している通信速度は、付与されているロゴによって見分けが付きます。USB Standard-A端子/コネクターの場合は、内部が青色で塗装されていたらUSB 3.2 Gen 1またはUSB Gen 2対応と判断できます……が、デザイン面の都合で青く塗装していないケースもあるので気を付けてください。
最新のUSB規格では、USB 3.1 Gen 1以降の規格において対応する最大通信速度を印字するように推奨しています。USB 5GbpsはUSB 3.2 Gen 1、USB 10GbpsはUSB 3.2 Gen 2、USB 20GbpsはUSB 3.2 Gen 2x2またはUSB4 Gen 3x1、USB 40GbpsについてはUSB4 Gen 3x2を意味します
Windows PCやMacにおいて雷が付いているUSB Type-C端子は「Thunderbolt 3」端子または「Thunderbolt 4」端子となります。要件上、いずれの端子もUSB4 Gen 3x2/USB 3.2 Gen 2相当の通信は行えます
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