15周年を迎えたiPadの集大成! M3チップの新型「iPad Air」は買い替える価値があるのか 試して分かったこと(2/4 ページ)
Appleが発表したタブレットの新モデル「iPad Air」の販売がスタートする。実機を触って感じたことを林信行氏がまとめた。
iPad Proには及ばないが「十分先進的」なスペック
写真左が新型iPad Airで、右がiPad Proの13インチモデル。写真ではそんなに厚みが違わないように見えるが、持ち比べるとiPad Proの方が明らかに引き締まった感じで薄くて軽いのを感じる。手で持った印象は、iPad Airがガッシリで標準的な印象、iPad Proが「薄っ!軽っ!」という感じだ
名前に“Air”が付くことで、超薄型の製品を想像する人がいるかもしれない。製品の厚さは約6.1mmで重量は13インチだと約617g、11インチは約460g(Wi-Fi+Cellularモデルの場合)となる。
約481gで約7mm厚の無印iPadと比べると約0.9mm薄い。
ただし、圧倒的に高性能なのに約5.3mmとさらに薄く、しかも、13インチモデルでも582g(11インチは446g)というiPad Proの引き締まった本体の魅力を1度知ってしまうとそこまで薄いという印象は持てない。
実際にボディーの曲げテストを行ったわけではないが、手で持った印象ではiPad Airの方が厚い分、iPad Proと比べて本体の剛性がかなり高そうな印象を持った。
センターステージに対応したビデオ会議用カメラが付いているのは他のiPad同様だが、赤外線センサーは省かれており、Face IDには対応しておらず指紋を使った個人認証、Touch IDを使うデバイスになっている。
では、iPadという製品において最も重要なディスプレイについてはどうだろうか。
iPad Airが搭載するディスプレイは、Liquid Retinaディスプレイと呼ばれるもので、Appleの一部の高級モデルが搭載するRetina XDRディスプレイよりは性能が落ちる。例えば晴れの日の空など、写真の明るい部分が驚くほど忠実に再現できるXDR表示には対応していない。
例を挙げるとiPhone 16シリーズで撮影した屋外写真などは、Super XDRディスプレイを搭載したiPhone 16シリーズ上では、空の部分が驚くほど明るく表示されるが、iPad Air上では明るくは表示されるもののiPhoneほどの明るさにはならない。写真や動画をXDR品質で確認したい人は、多少高くてもiPad Proを選ぶ必要がある。
もっとも、それはXDRディスプレイと比較した場合の話で、iPad Airのディスプレイは決して品質が悪いわけではなく、むしろ業界でも高品質な部類に入る。そもそもiPadのディスプレイは無印iPadでも高品質で、ちゃんと色が再現されるという定評があるからこそ、多くのトップブランドがiPadには自社のファッションアイテムのカタログアプリを提供している(他社製だと、画面の表示品質がバラバラで同じ色でもかなりバラツキが出てしまうため、ブランド側がイメージ低下を防ぐべくアプリを出すことを避けている)。
無印iPadはsRGBの色域がベースとなるが、iPad Airは、それよりも広い範囲の色を表示できるP3という仕様に対応している。これはMacBook AirやApple Studio Displayのディスプレイなどと同じ範囲の色で、ほとんどの仕事で十分使える品質だ。
言い方を変えれば、iPad Pro、MacBook Proやディスプレイ製品のPro Display XDRが、ちょっと先に進み過ぎているだけで、iPad Airでもちゃんと今日の平均的水準以上の上質な表示を楽しめる。
スピーカーは2基内蔵しており、本体を横向きに構えた時にステレオで最適化される。また、AirPodsシリーズや対応ヘッドフォンの併用で空間オーディオを楽しめる。
カメラは正面のカメラも背面のカメラも約1200万画素で、光学2倍ズームなどの機能はない。ただし、iPadを使うほとんどの人はiPhoneなどと併用していると思うので、写真撮影はそちらで行い、AirDropやiCloud経由で写真を撮影し取り込むことを考えれば、特に困らない仕様だ。むしろ、そこで本体価格を上げずに抑えてくれたことに感謝したい人も多いだろう。
以前のAppleは、標準モデルにも少し先の機能を搭載してしまうことが多かったが、無印iPadが完全に日本の教育市場を意識した価格設定をしているように、iPad Airでも製品価格を抑えるために、割り切った仕様の選別をしているように感じる。
これから、この製品でiPadデビューをしようとしている人には、そもそもiPadOS自体が使い勝手も良く、プライバシーにも配慮した安心設計なので十分楽しめるはずだ。
しかし、古いiPadから乗り換えようとしている人は、もう少し何か目玉とか花となるような機能が欲しいと感じるかもしれない。
実はAppleは、そこにもちゃんと答えを用意している。
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