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理系じゃないとダメ? 英語は話せないと困る? NVIDIA社員が人生相談に答える「女子中高生向けオフィスツアー」を開催(2/2 ページ)

NVIDIAが先日、東京都内に在住する女子中学生/高校生を対象とするオフィスツアーを開催した。その模様をお伝えする。【訂正】

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オフィスツアーでどんなことをした?

 今回のオフィスツアーでは、3つのプログラムが用意された。

 プログラムの開始前には、エヌビディアの大崎真孝社長(NVIDIA副社長を兼務)があいさつに立った。大崎社長は、エヌビディアの約200人の従業員のうち約2割が女性であること、女性従業員が営業職やエンジニア職として会社で活躍していることを紹介した上で、「(今回のイベントで)少しでも未来を感じていただいて、皆さんが将来について考える時に、ちょっとでも参考になれば幸いだ」と述べた。

大崎社長
エヌビディアの大崎真孝社長(NVIDIA副社長を兼務)

会社紹介

 まず、エヌビディアで広報を務める吉川香葉子氏がグローバル企業としてのNVIDIAの概要を紹介した。

 吉川氏はCM制作会社やPR会社を経てエヌビディアに入社したという経歴を持つ。テクノロジー企業というイメージから、エヌビディア(NVIDIA)はバリバリの“理系”企業というイメージを抱きがちだが、吉川氏はむしろバリバリの“文系”である。そのことを引き合いに、吉川氏は「理系が多そうな会社でも、文系の人が活躍できる部署(分野)は必ずあり、その逆もある。自分の得意なことや好きなことは、想像以上に幅広い分野の会社で生かせる」と、参加者にアドバイスをしていた。

吉川さん
NVIDIAの会社紹介を担当した吉川香葉子氏
会社概要
NVIDIAの会社概要を紹介してから、そのまま米国本社の紹介に入った
Switch
NVIDIAと日本のつながりは想像以上に深く、同社はかつてセガ・エンタープライゼス(現在のセガ)から経営面で支援を受けていた。また最近でも、任天堂の「Nintendo Switch」「Nintendo Switch 2」はNVIDIA製のSoCを採用している
NVIDIA
NVIDIAの「Blackwellアーキテクチャ」について説明しているところ。参加者は筆者の想像以上に真剣に話を聞いている

AIデモツアー

 会社紹介の後、参加者は10人ずつに分かれて「AIデモツアー」と「ASK Me Anything」に参加した。

 AIデモツアーでは3つのコーナーでNVIDIAのGPUとそれを生かした技術を体験できた。ノートPCが3台並んでいる一角では、Valveが開発したゲーム「Portal」が展示されていた。

 パッと見ではいずれも同じPortalのデモンストレーションに見えるのだが、左のPCはオリジナルの(=2007年にリリースされた)Portal、真ん中のPCはNVIDIAのGPU(GeForce RTXシリーズ)に最適化された「Portal with RTX」、そして右のPCはPortal with RTXに超解像/マルチフレーム生成技術「DLSS」を適用した場合と、技術の進化や効果を体感できる展示構成となっていた。

 参加者には普段はPCゲームをしないという人もいたのだが、Portalを“遊び比べる”ことで違いは十分に体感できたようだ。

Portal比べ
同じスペックのゲーミングノートPCを並べ、Portalを通して技術の進化や有効性を体感するデモンストレーション。他の展示もそうなのだが、GPUの種類やスペックの詳しい説明はあえてしていなかったことが印象的だった

 GeForce RTX 5090を搭載するデスクトップPCでは、生成AIを使ったアーキテクチャデザイン(部屋の設計)のデモンストレーションを実施していた。左側の部屋の写真にマウスで“何か”を書き込むと、生成AIが右側の部屋のイメージに家具や調度品を描き加えてくれるという趣向だ。

 参加者は「何が出てくるのかな?」という観点で楽しんでいるようだった。

アーキテクチャ
生成AIを使ったアーキテクチャデザインのデモンストレーション。筆者も別の機会で体験したことがあるものだが、描き込んだ結果がどのように反映されるのか、意図通りになるのかという観点で結構楽しかったりする

 そして機材が置いてある一角では、同社のAIプラットフォーム「NVIDIA DGX」に関する説明が行われた。さすがに実際に稼働しているデモンストレーションは難しく、このコーナーのみ説明員による解説となった。しかし案外質問する参加者は多かったようで、盛り上がりを見せていた

DGX
NVIDIA DGX,NVIDIA DGXの実動はさすがに難しく、ハードウェアを展示した上で説明するという構成となった
DGX
説明員がDGXについて説明しているところ。説明を一通りした後に質問を受け付けるという構成だった

ASK Me Anything

 その名の通り、ASK Me Anythingではエヌビディアの女性従業員が参加者の質問に答えていた。女性従業員の職種は「営業」「エンジニア(2人)」「広報」という布陣で、経歴も多様だった。

 わざわざ応募してからの参加ということもあってか、参加者からはさまざまな質問が出てきた。例えばエヌビディアが外資系企業ということもあり、「仕事に英語は必須か」「英語はどの程度できないとマズいか」という質問は比較的多かった。英語は話せるに超したことはないが、「言語を問わず、コミュニケーションを取ることは重要」という回答には個人的にも「なるほどな」と思った次第だ。

 また主にエンジニアという仕事を意識してか、「中学校/高校でどういう勉強をしておくべきか」「大学の勉強で役立ったことはあるか」「大学院まで行くべきか」といった質問もあった。営業と広報は海外大学卒業で留学経験があったことから「留学にメリットはあるのか」「なぜ海外の大学に行ったのか」といった質問もあった。

 面白い質問としては「大学でアルバイトはすべきか(する暇があるのか)」「どんなアルバイトをしているのか」「仕事とプライベートのバランスをどう取っているのか」というものもあった。

 エヌビディアの女性従業員は、参加者の質問に真摯(しんし)に答えていた。

ASK Me Anything
ASK Me Anythingでは、4人の女性従業員が参加者の質問に答えていた。盛り上がり過ぎて、所定の時間を過ぎてしまうこともあった

将来の進路を考える上で良い機会に

 東京都が女子中高生向けオフィスツアーを始めたのは、「STEM分野での女性活躍を推進する」ことが目的だ。男女共同参画の観点から、女性の従業者が少ないとされるSTEM分野に、もっと目を向けてもらうという意図もある。

 「STEM」に「女子」というと、いわゆる「リケジョ(理系女子)」を増やすという目的なのかなと思われがちだ。しかし、この取り組みはあくまでも女子の進路やキャリアの“選択肢”を増やすことに主眼がある。

 事実、エヌビディアのツアーに参加していた女子中学生/高校生の中には「理系科目(数学や理科)はむしろ苦手」という人も複数いた。ある参加者は、仕事に携わる人の話を聞いた上で将来について“逆算”して考えたい(何をしなければいけないのか見定めたい)という意図で参加したという。

 ASK Me Anythingにおいて、エヌビディアのある女性従業員が「教科的な得意/苦手だけで、将来を決めてしまうのは良くない」という内容の発言をしていた。まさにその通りで、将来にしたいこと/やりたいことを見定めて、取り組むべきことを考えることは大切だ。

 今回のプログラムを通して、参加者の“選択肢”は確実に増えたと思う。参加者の将来に幸あれ。

プログラムの最後
プログラムの最後は、お約束ともいえる記念撮影だ

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