「AirPods Pro 3」先行レビュー 誰でも体感可能なレベルの音質向上は予想以上:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)
Appleの「AirPods Pro 3」は、内部のSoCは先代から変わりないものの、中身はフルモデルチェンジと言っても過言ではないレベルで刷新されている。発売に先駆けて、その実力をチェックしてみよう。
使うと感動的な「ライブ翻訳機能」
Apple Intelligenceを活用した「ライブ翻訳機能」は、言葉の壁を取り払いうる革新的な体験だ。
スペイン語と英語の翻訳テストでは、同じラテン語系の言語であることもあって翻訳の遅延が非常に短く、その応答性に驚かされた。なおライブ翻訳機能はクラウドを通さず、全て端末上で行われる(オンデバイス処理)。ただし、新しい言語を初めて使う際には言語データのダウンロードが必要となる。
この機能を実現するに当たって、同時に複数の人間がいる時に「誰の声を訳すか?」という問題を乗り越えなければならなかった。今回は「Apple H2チップ」を活用し、ビームフォーミングマイクを使って話者特定が行う手法が採用されている。ユーザーが“向いている”方向にいる話者の声を分離して翻訳を行い、背後にいる人の音声は無視する(翻訳しない)実装だ。
またライブ翻訳中は、アクティブノイズキャンセリングがフルに働く。そのため“理解できない”言語は聞こえず、翻訳後の音声合成音だけが耳に届く。
なお、ビームフォーミングマイクは正面から3〜4フィート(約90〜122cm)の位置にフォーカスしている。ちょうどよい距離感で対面会話しているシーンで、最適な設定だ。
チップは変わらずとも中身はフルモデルチェンジ
AirPods Pro 3は、1回の満充電でアクティブノイズキャンセリングオンの状態で最大8時間、聴覚サポート機能を有効にした「Transparencyモード」で最大10時間の使用が可能だ。これは、AirPodsシリーズ史上最長の駆動時間であり、大西洋を横断するフライトでも充電ケースに戻す必要がない。ケースでの充電は5分間で約1時間分の容量を得られるので、スピーディーでよい。
「Apple H2チップ」を継続採用したことから、ハイレゾ音源への対応に期待もあったが、今回は対応が見送られた。しかし、体感した限りにおいてAirPods Pro 3の製品力は明らかに向上しており、ワイヤレスという制約を考慮に入れたとしてもトップクラスの高音質を実現できている。ハイレゾ対応ワイヤレスコーデックなしでここまで到達できたのは驚異的だ。
ケースと本体は共に少しだけ大きくなっているものの、バッテリー持続時間の確実な向上は評価に値する。聴覚サポート機能の動作時間も十分なものとなり、実用性が大幅に向上している。
従来の無難な音質から脱却し、真に音楽を楽しめるワイヤレスイヤフォンに変貌を遂げ、その上で機能面でも磨き込んだAirPods Pro 3は、iPhoneユーザーにとって第1選択肢となるワイヤレスイヤフォンである事は間違いない
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