Lenovoの新型PCを見て、聞いて、触ってきた! 周辺機器やコンセプトモデルも見どころたくさん:Lenovo Innovation World 2025(2/3 ページ)
Lenovoがドイツ・ベルリンで開催した「Lenovo Innovation World 2025」では、多数の新しいPCや周辺機器が展示された。筆者が説明員から話を聞いたものについて、詳しく紹介したい。
縦旋回ディスプレイ搭載の「ThinkBook VertiFlex Concept」
SMB(中小規模ビジネス)ユーザー向けノートPC「ThinkBook」ブランドからは、次世代コンセプトモデルとして「ThinkBook VertiFlex Concept」が披露された。基調講演でも話題になったが、展示会場では実機展示があった。
「コンセプトモデル」という触れ込みではあったが、ほぼ量産品のクオリティーの機体が複数台展示されており、自由に触ることができた。Lenovo自身は明言していないが、おおむねそのままの仕様で製品化されると思われる。
実は、Lenovoは1月に発表したローラブルディスプレイ搭載ThinkBookのコンセプトモデルを、6月に「ThinkBook Plus Gen 6 Rollable」としてほぼそのまま発売している。それと、同じ展開が十分に考えられるのだ。
1月にCES 2025に合わせて披露されたローラブルディスプレイのコンセプトモデルは、6月に「ThinkBook Plus Gen 6 Rollable」として製品化が発表された。今回の展示会場では、その製品版の展示があった
展示されているThinkBook VertiFlex Conceptは、スペックもかなり製品化を意識している。SoC(CPU)は、32GBメモリ搭載の「Core Utra 7(Lunar Lake)」(Core Ultra 7 258VかCore Ultra 268V)で、ディスプレイは1920×1200ピクセル解像度の14型有機ELパネルを搭載していた。
ディスプレイの回転は、電動ではなく手動だ。横画面/縦画面の正規位置できちんとロックが掛かるようになっており、ディスプレイの両端を持つと回転させることができる。縦辺と横辺の長さが違うため偏心回転となるのだが、この偏心運動については、内部のメカ構造によってアシストされる。ユーザーは「画面の上げ/下げ幅」を意識せず、ただ回すだけでOKだ。
ギミック的にはシンプルなので「なんだこれ?」とか言われそうだが、この機構は地味ながら凝った技術だと思う。
本体重量は約1.39kgで、14型ノートPCとしてはごく普通だ。ThinkBook Plus Gen 6 Rollableは高価だったが、ThinkBook VertiFlex Conceptは果たしていくらで出てくるのだろうか……?
ディスプレイも“豊作”
外部ディスプレイの新製品も複数展示されていたが、筆者が注目したのは、39.7型(5120×2160ピクセル)の湾曲ディスプレイ「Thinkvision P40WD-10」だ。パネルはIPS液晶になる。
「5120×2160ピクセル」という解像度は、アスペクト比16:9の4K(3840×2160ピクセル)解像度を左右に640ピクセルずつ拡大したものに相当する。計算上、ドットバイドットで4K解像度の表示を行った場合は32型相当の表示となる。DCI-P3に基づく色空間カバー率は、98%を達成している。実際に見てみると、発色は良好だ。
接続端子はHDMI入力端子やDisplayPort入力端子の他に、Thunderbolt 4(USB4)対応のUSB Type-C端子も用意している。USB Type-C端子は、USB PD(Power Delivery)による電源供給も可能だ(最大140W)。
ThinkVisionブランドの製品というこでゲーミング用ではないが、本製品はVRR対応で24Hz〜120Hzの可変レート表示に対応する。ゲーミング用途にも十分使えるスペックだ。
基調講演では、有機ELゲーミングディスプレイの新製品として「Legion Pro 32UD-10」「Legion Pro 27UD-10」「Legion Pro 27Q-10」の3製品が発表された。これらのうち、展示会場ではLegion Pro 32UD-10がゲーミングデスクトップPCの新モデル「LOQ Tower 26ADR10」と一緒に展示されていた。
Legion Pro 32UD-10の有機ELパネルは、Samsung Display(サムスンディスプレイ)製のQD-OLED(量子ドット適用有機ELパネル)だという。展示されていない2モデルも、QD-OLEDを使っているとのことだ。どうやら、2025年秋の有機ELディスプレイの新製品は「QD-OLEDパネルの採用」に注力したようである。
リフレッシュレートは最大240Hzで、応答速度は0.03ミリ秒をうたう。動画品質認証として、「VESA ClearMR 13000」も取得している。
パネルの駆動は、FRC(時間方向の誤差拡散)なしのリアル10bitで、“リアルな”10億色表示を実現する。その恩恵もあって、sRGB/DCI-P3いずれも99%のカバー率を誇る。HDR映像品質は、「VESA DisplayHDR TrueBlack 400」認証を取得している。
そして、ゲーミングディスプレイとしてはいまだ少数派の「Dolby Vision」に対応していることも見逃せない。ゲーム機でDolby Vision対応なのはXbox Series X|Sくらいのものだが、本機とUltra HD Blu-ray DiscプレイヤーやFire TV/Chromecast/Apple TVシリーズといったDolby Vision対応映像機器とつなぐパーソナルシアター用ディスプレイとして活用可能だ。
本製品の発売は11月を予定しており、価格は1100ドル(約16万2000円)前後となる見込みだ。性能を考えると、コストパフォーマンスはいい。
Legion Pro 32UD-10の横に置いてあったLOQ Tower 26ADR10は、CPUが最新より1世代古いZen 4世代のモバイル向けAPU「Ryzen 7 8745HX」(8コア16スレッド)となる一方で、外部GPUは最新の「GeForce RTX 50」シリーズを搭載できる(最上位構成ではGeForce RTX 5070 Ti)。
メインメモリはノートPC向けのDDR5-5200規格のSO-DIMMを使うようになっており、最大容量は64GBとなる。電源ユニット(PSU)は、選択したGPUに応じて仕様が変わるようになっており、最上位構成では最大850W出力のものが搭載される。
日本では既に受注を開始しており、最小構成の直販価格は14万9820円となっている。
ThinkPadブランドの「Thunderbolt 5ドック」が登場
USB4 Version 2.0(USB 80Gbps)に完全準拠する「Thunderbolt 5」が発表されたのは、2023年9月のことだった。それから約2年が経過し、ようやく対応PCと周辺機器がリリースされ始めた。
Thunderbolt 5対応周辺機器の中でも、特に重要なものがドック(ポートリプリケーター)だ。Thunderbolt 5のような超高速端子は、1台のPCから何本も出ていない。周辺機器を効果的に活用するには、その帯域を必要な機器に必要なだけ割り当てて運用してくれる、いわば交通整理役(≒ジャンクション役)としてのドック機器がとても重要なのだ。
今回のイベントに合わせて、LenovoはThinkPadブランドのThunderbolt 5ドック「ThinkPad Thunderbolt 5 Smart Dock 7500」を発表した。この製品はUSB4 Version 2.0で盛り込まれた80Gbpsの双方向通信はもちろん、オプション規格である120Gbps/40Gbpsの非対称通信にも対応していることが特徴だ。120Gbpsは下り通信(PCからデバイスへの伝送)で使われる想定となっており、外付けGPUへのコマンド転送/データ伝送や、SSDなどの高速ストレージへの書き出しに効力を発揮する。
本製品にはデイジーチェーン(最大5台まで)対応のThunderbolt 5端子×2の他、USB 3.1 Gen 2(USB 10Gbps) Standard-A端子×3、USB 3.1 Gen 2 Type-C端子×2、DisplayPort 2.1出力端子×2、HDMI 2.1出力端子、イヤフォン/マイク端子、有線LAN端子(2.5GBASE-T)も備えており、ポート類はかなり充実している。
本製品をThunderbolt 5対応PCとつないだ場合、以下の通り最大4画面の同時出力が可能だ(実際に出力できる映像はPC側のスペックに依存する)。
- 8K(7680×4320ピクセル)解像度/60Hz×2(DisplayPort端子を利用)
- 8K(7680×4320ピクセル)解像度/60Hz×1(HDMI出力端子を利用)
- 4K解像度/120Hz×1(Thunderbolt 5端子を利用)
本製品の発売時期は未定だが、価格は550ドル(約8万円)を想定しているという。ドックとしてはかなり“お高い”印象を持つかもしれないが、先代製品も最初は高かったので、想定通りではある。
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