Wi-Fiルーター「Aterm」のふるさとはどんな場所? NECプラットフォームズ掛川事業所の歴史に触れる【前編】(1/3 ページ)
NECプラットフォームズは、NECグループの“もの作り”に関わる企業だ。静岡県掛川市にある同社の「掛川事業所」は、コンシューマー向けルーター「Aterm」のふるさとでもある。同社と掛川事業所の歴史について、簡単に紹介しよう。
NECブランドのWi-Fi(無線LAN)製品「Aterm(エーターム)」などを生産するNECプラットフォームズ掛川事業所(静岡県掛川市)は、最新技術を投入した工場だ。2023年8月に稼働した「新A棟」は、AMR(自律走行搬送ロボット)を積極的に導入している他、「ローカル5G」「顔認証」「量子アニーリング」といった先進技術を活用することで生産効率を30〜40%程度向上させた実績を持つ。Atermは最新鋭工場のなかで生産されている製品なのだ。
今回、掛川事業所を取材する機会を得たので、2回に分けてその様子をレポートする。この記事では、NECプラットフォームズと掛川事業所の概要を紹介する。
そもそも「NECプラットフォームズ」ってどんな会社?
NECプラットフォームズは、NEC(日本電気)グループにおけるハードウェアの開発/生産/販売を担うべく、2014年にNECインフロンティア(旧・日本電話工業→日本通信工業→日通工)を存続会社として、3つのNEC子会社を吸収合併することで発足した。2017年にはさらに3つのNEC子会社を吸収合併した上で、NECとNEC通信システムから一部事業を譲受している。
このような経緯があるため、NECプラットフォームズとしては“11歳”である一方で、同社の大本となったNECインフロンティアは1918年に創業し、1932年に現在の法人が発足した会社なので、創業ベースで“118歳”、法人格ベースで“93歳”という「若い老舗企業」という見方もできる。
同社の生産拠点は今回取材した掛川事業所の他、国内では山梨県甲府市/大月市、福島県福島市/那須塩原市、山形県米沢市に、海外では中国の江蘇省蘇州市と香港に所在している。
掛川事業所のルーツは「静岡日本電気」→「NECアクセステクニカ」
今回取材したNECプラットフォームズ掛川事業所は、元々「NECアクセステクニカ」という独立した企業だった。NECアクセステクニカは、NECプラットフォームズが統合した企業の中でも特に長い歴史を持つ。
NECは1969年頃から「地方分身会社」という構想を推進した。これは端的にいうと生産工場の地方分散立地構想で、全国各地に工場を運営するための子会社(通称「地方日電」)を設立していった。この構想で作られた子会社は「県名+日本電気」という社名を持つことが特徴だ。
掛川事業所は1969年10月に「静岡日本電気」として設立された。地方日電としては初期の発足だ。静岡日本電気は2001年に「NECアクセステクニカ」に社名(商号)を変更し、2014年にNECプラットフォームズに吸収合併され同社の掛川事業所となり現在に至っている。
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