高コスパNASから小型スマホの救世主まで! 2025年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5(4/5 ページ)
PC USERでモバイルディスプレイやスマートスピーカー回りの連載をしている山口さんに、2025年に使って良かったデバイスを挙げてもらった。
ストレージ部門:「UGREEN NASync DXP2800」
自らドライブを組み込んで使用する、いわゆるNASキットと呼ばれる製品はSynologyやQNAP、ASUSTORの製品が国内では有名どころで、筆者はいずれの製品も比較を兼ねて自宅で稼働させている。ハードウェアは各社とも初心者向けからプロユースまでピンキリだが、UIで評価するならば、QNAPはやや煩雑過ぎ、ASUSTORは物足りない中で、機能も使いやすさもSynologyが圧勝というのがこれまでの筆者の評価だった。
そのため、買い増しに当たっても最も評価の高いSynologyの製品で2.5GbEモデルが発売されるのを長年待ち続けていたのだが、ご存知の通り同社は2025年になって(最終的に撤回されたが)今後は自社ドライブしかサポートしない方針を打ち出したことで、候補から外れるに至った。推しだった製品が至極当然の理由で炎上し、海外掲示板などでファンから総攻撃を食らっているのを見るのはなかなかつらいものがある。
その結果新たに導入するに至ったのが、このカテゴリーでは新規参入組であるUGREENの2ベイNAS「NASync DXP2800」だ。本稿で紹介している他の4製品が文句なしのオススメなのに対して、本製品はツッコミどころも多いのだが(そもそもNASは長年かけて信頼性を獲得していくタイプの製品だと思っており、本来ならば新参の製品は様子見するのが普通だ)、2025年に購入したデバイスを代表する製品ということで、ここで紹介したい。
まず見どころとして挙げられるのは、ハードウェアスペックの高さだ。他社製のNASはメモリが多くて2GB、下手をすると512MBのモデルもあるところ、本製品は標準で8GBとメモリ増設済みの他社製NASと遜色ない容量を誇り、それでいて5万円を切る驚きの低価格を実現している。有線LANポートは2.5GbE対応で、さらにトレイを採用しホットスワップに対応するなど、SOHO利用にも耐えうる仕様でありながら、このコスパの高さは驚きだ。
UIの完成度の高さもポイントに挙げられる。前述の他社モデルが長年の増築に次ぐ増築によってUIが煩雑になっているのに対し、スマホファーストで1から設計された本製品は階層構造も分かりやすく、何ができるかも一目瞭然だ。機能が完全に同等ではないので同列に比べるのは難しいにしても、独自の用語でユーザーを戸惑わせることもなく、初めて使うユーザーにもとっつきやすいのはプラス要素だ。
一方の問題点としては、外部からのアクセスがデフォルトで有効になっていたり、そのままではWindowsから参照できなかったりと、初期設定がちぐはぐなことがある。もちろん設定を変えればいいのだが、その情報提供がユーザー間のコミュニティー頼りなのはいただけない。さらに、クラウドバックアップでOneDriveやGoogleドライブはサポートする一方、Dropboxは対象外であったりと、他社では当たり前の機能がなく驚くこともしばしばだ。
これら諸問題の多くはファームウェアのアップデートで解決できるはずで、事実、不具合関連の修正は急ピッチで進められているようなのだが、こうしたアップデートは中の人の異動や退職といったユーザー側から見えない事情で突如ストップして、それっきりになるケースも多いので(前述のNASメーカーの中にも前科のある顔がちらほら)、少なくともソフトウェアの作り込みが一定レベルに達するまでは、少々お勧めしづらいのが現状だ。
ただし、そこさえクリアできればハードウェアのスペックが高いことから、他社よりも推せるようになる可能性は十分にある。読み書きの性能についても、筆者宅で稼働している2.5GbE対応のASUSTORのNAS(これもメモリは8GBだ)とも同等の転送速度を叩き出しており、ポテンシャルは十分ある。要注目の製品であることは間違いなさそうだ。
スマホアプリでのメイン画面。デスクトップ並の充実度だ(左)。Windowsからフォルダーを見えるようにするにはSMBの他に、wsdd2を有効にする必要があるなどやや説明不足な印象を受ける(中央)。クラウドドライブの顔ぶれにDropboxがないなど、全体的な機能追加はまだまだこれからといったところだ(右)
最後は、その他のデバイス部門だ
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