PCを道具から“パートナー”と呼べる日は来るか? NECPCが描くローカルAIの未来 「AI×PC DAY 2026」レポート(1/3 ページ)
1〜2年で到来するローカルAI時代を見据え、PCは単なる「道具」から「伴走者」へと進化するか? SLMの可能性や最新デバイス、現場の課題を解決する各社のAI活用術を凝縮してお届けする。
NECパーソナルコンピュータ(以下、NECPC)は4月24日、法人向けイベント「AI×PC DAY 2026」を開催した。本イベントでは、多くの企業が業務へのAI導入で直面する課題に対し、展示やデモ、講演を通じて最新のユースケースが披露された。
本記事では、同社が推進するAIへの取り組みに加え、最前線でAIソリューションを手掛ける各社によるパネルディスカッションの模様をレポートする。
PCを人間の道具からパートナーへと変え得る、AIの進歩
基調説明に登壇したNECPCの飯田陽一郎氏(執行役員 コマーシャル営業推進本部長)は、「PC業界は今やAI PC一色だが、まだ技術が追い付いていない」と現状を分析する一方で、「1〜2年もすればローカルAIの時代が到来する」と前向きな展望を語った。その背景には、この1年でローカルAIの鍵を握る小規模言語モデル(SLM)が著しい進歩を遂げている事実がある。
来たるべきローカルAI時代を見据え、NECPCはどのような戦略を描いているのだろうか。
飯田氏は、「実行の主体がAIに移行するにつれ、人間の役割は『AIへの意思伝達』へとシフトする」と指摘。これは、PCが単なる「道具」から、共に歩む「パートナー」へとその定義を変えることを意味している。
パートナーとしてのPCに不可欠な要素として、飯田氏は以下の3機能を挙げた。
- インタフェース
- 文脈理解
- 実行基盤
実行基盤について飯田氏は、「現在はパフォーマンス重視のためAI処理の98%がクラウド上で行われているが、近い将来、その一部はローカルへ移行する」と予測する。その主な要因として、コスト削減、セキュリティの強化、そして低レイテンシの実現という3つのメリットを強調した。
実行基盤のローカル化は、PCの活用スタイルを劇的に変えるというのが飯田氏の見立てだ。その多大な恩恵から、AI自体がローカル環境での利便性を高める方向へ進化することへの期待も大きい。
ローカルをAIの実行基盤にすることで、これまでとは異なる使い方がなされるようになるだろう、というのが飯田氏の見立てだ。メリットが多いことから、AIがローカルで使いやすくなるよう進化するという期待もある。
飯田氏は「Microsoft CopilotやClaude Cowork、OpenClawといったローカル動作可能なAIの利用者は増加しているが、まだ決定的なキラーコンテンツは現れていない」と現状を分析しつつも、「今後半年から1年以内には、市場をリードするソリューションが登場するはずだ」と確信を込めて語った。
競合他社も含めた連携が肝要
飯田氏は、PCメーカーとしての戦略を「AIインフラの普及」と「AIインフラの活用」という2本の柱で進めていく方針を明言した。
前者の普及策については、ハードウェアの拡充に注力する。「AI PCという枠組みに固執せず、真に使い勝手の良いデバイスを提供することでユーザー層を広げ、基盤を構築していきたい」という。
後者の活用策については、「ユースケースの拡大」が不可欠であると説く。「自社完結ではなく、ソリューションベンダーやパートナーとの協業は必須だ。もはや競合うんぬんと守りに入る段階ではない。業界の垣根を越えて連携し、実用的なユースケースを創出していく必要がある」と訴えた。
インフラ活用において注視しているのは、やはりローカルAIだという。「汎用(はんよう)性の高いSLMをPC上でどこまで活用できるか、その可能性と限界を検証している。ローカル翻訳や、秘匿性の高い個人情報匿名化技術など、ローカルならではの強みを生かしたソリューションをパートナー各社と共に創出していきたい」とした。
具体的な施策としては、多様な言語モデルの搭載、SLMに最適化したハードウェアによるパフォーマンスの最大化、国内ユーザーの利便性を高める日本語特化型の最適化を進めている。さらに、AIによる高度な文脈理解を実現するための基礎研究にも着手しているという。
「低コストでありながら、全く新しい体験を提供できるソリューションを具現化していきたい」と飯田氏は意気込みを見せる。
セッションの締めくくりとして、飯田氏は今後の決意を次のように語った。
「NECPCはPCメーカーとして、また日本市場のいち参加者としてローカルコンピューティングをより発展させていく。強みを生かして日本の現場でAIの価値を広く届けていけるように尽力していきたい」(飯田氏)
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