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AIモデルの性能競争から降りたAppleの狙いとは? AI時代の“計画的長寿命化”と「Siri AI」がユーザーとアプリをつなぐ理由本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/5 ページ)

Appleが毎年6月に開催している開発者向けイベント「WWDC」だが、2026年はOSごとの説明というよりも共通する新機能の説明が多かった。目玉は新しい「Apple Intelligence」と「Siri AI」なのだが、その前に「パフォーマンスの改善」を持って来たことも注目だ。【更新】

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「AI」と「ユーザー」の橋渡しになろうとするApple

 次世代のApple Intelligenceは、複数のAIモデル群の上に成り立っている。

 Appleの説明によると、新しい「Apple Foundation Models」は、Googleの「Gemini」モデルをベースとして、独自に構築したものだという。Geminiの技術を活用しながらも、自社が強みとする「オンデバイス処理」と「プライベートクラウドコンピューティング」に適応させることで、Apple製品の“中”で使うためのAIモデルとして仕立て直した

 Appleは、基盤となるAIモデルの全てを自前で用意できなかった。このことを批判する向きも当然あるが、投資も開発負荷も重く、“本業”とは遠い領域の技術を外部調達することは合理的な選択ともいえる。

 しかもAppleは、デバイスメーカーとして肝心な部分を手放していない。端末上で動くコンパクトなAIモデルのOSへの組み込みや、アプリ向けAPIの構築、オンデバイスとクラウドへの処理の振り分け機構、そしてプライバシー情報を漏らさないための設計は、いずれも自社が担っている。

新しいモデル
新しいApple Foundation ModelsはGoogleとの提携に基づいて“独自”開発したもので、「Gemini」をベースにAppleの核心でもあるオンデバイス処理とプライベートクラウドコンピューティングに最適化したものとなる

 基調講演後の技術セッションでは、最上位に置かれたクラウドモデルがGoogle Cloud上にあるNVIDIA GPUで動いていることも明らかにされた。ただし、社外のサーバ群ではあるものの、プライベートクラウドコンピューティング用に管理され、プライバシーをしっかりと守る構造になっているという。

 WWDC 2026の直前に、Apple Silicon担当のプロダクトマネージャーであるダグ・ブルックス氏に話を聞いた。その際にも思ったことだが、どこまでを自前で作り、どこから外部の力を借りるのかという“線引き”にこそ、設計思想が表れると感じた。

プライバシー
プライバシーに配慮する部分の設計は、Appleが自社でコントロールしている

 今回発表されたAIモデルの構成は、その考え方を具体的になぞっている。まず、全ての対応モデルで動く、十分に賢く機能的なオンデバイスAIモデルがある。さらに、AI処理能力の高いSoCと十分なメモリ容量を備えるiPhone/iPad/Macでは、より強力なオンデバイスAIモデルも使われる。より強力なモデルは、表現力を増した発話機能や、高精度な音声入力などに活用される。

 端末だけで抱えきれない処理はプライベートクラウドコンピューティングへ渡されるが、さらに重い推論や複数のツールを使う処理では外部のクラウド基盤も使われる

 ただし、ユーザーが処理の“内訳”を意識する必要はない。利用できる量にはサブスクリプションサービス「iCloud+」の契約状況による違いがあるものの、処理の振り分けは背後へ隠される。

 どこまでがApple独自のモデルで、どこから外部の技術が使われているのか。技術的には重要な問いである。しかし製品として見れば、利用者はその答えを知る必要はない。2027年には異なるAIモデルへ接続され、部分的にApple自身が学習させたモデルへ置き換わっている可能性もある。

 利用者から見えるのは、「Apple Intelligence」という単一ブランドで統一された機能群だけだ。そもそも、それがAIなのか、どのモデルが介在しているのか。その存在を意識させずに使わせる――Appleが勝負しようとしているのは、その部分だ。

より強力なオンデバイスAI
より強力なオンデバイスモデルを利用するには、一定以上のハードウェアスペックが要求される

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