「AIハイパースケール」でNVIDIAに真っ向勝負を仕掛けるAMD 2030年に向けたロードマップを公開:AMD AI Advancing 2026(3/4 ページ)
AMDが自社イベントで、データセンター/サーバ向けの新世代CPU/GPUと、それを搭載するラックマウントシステムを発表した。発表内容を見ていると、ライバルであるNVIDIAに対する“真っ向勝負”感が伝わってくる。
AMDがAI大手との提携で目指すもの
基調講演では、主要AI企業との提携が改めて発表され、Heliosの大規模展開に向けた下地が整いつつあることが示された。
その1つはAnthropicとの提携で、同社が最大2ギガワット(GW)規模のHeliosインフラを導入することがアナウンスされた。まず2027年前半から1GW規模で展開を始め、これを順次2GW規模まで拡大するという。
また同社との提携では、ROCm上での「Claude」の最適化を行うことも含まれている。これは、先行して提携が発表されているOpenAIの「GPT」のROCmへの最適化にならうものとなる。
講演中、Anthropicのトム・ブラウン氏(共同創設者兼CCO:最高計算責任者)が登壇し、AMDとの提携の経緯を話す場面があった。まずHelios導入に至った経緯だが、同社は事前にInsitinct MI455Xの先代である「Instinct MI355X」を搭載するラックの提供を受けており、その評価が非常にポジティブだったことが理由の1つのようだ。
また、システムの展開に際してAMDのサポートが必要なかったことや、Anthropic社内のエンジニア1名で主力モデルの構築作業を開始して、週末にシステムを“放置”したところ、週明けにはしっかりと動作して、パフォーマンスも向上し続けたというエピソードを披露した。要するにプラットフォームそのものの扱いやすさが評価ポイントだったということだ。
スーCEOは「Claudeのような主要モデルがAMDアーキテクチャに対応することで、市場全体により良いサービスが提供できる」と提携効果をアピールした。
フロンティアAIモデルの開発最前線においてAnthropicと競合するOpenAIは、AMDとの提携では“先行”している。Heliosラックの導入も、Anthropicと比べて半年ほど早い2026年後半から1GWクラスの規模からインフラの構築を始める予定で、最終的には6GWクラスまで拡大する見通しだ。
基調講演に登壇したOpenAIのサチン・カッティ氏(コンピュート戦略担当バイスプレジデント)は、世間でのAIトレンドが当初のチャットボット中心のものから自律的なAIエージェント、そして最終的に仕事そのものを任せられる「インターン(Intern)」へと進化しつつある中で、OpenAI社内でもAIに任せるタスクの量が増え、結果としてコンピューティングリソースに対する需要が爆発的に増加したと述べている。
カッティ氏は「AIインフラではチップ単体の能力のみならず、データセンターにおけるシステム全体の最適化が重要で、これを今後もAMDと推進していきたい」という。同氏はAI自身がAIインフラを最適化する「再帰的改善」についても触れ、これが結果として熟練工による手作業ではなく、GPUプログラミングの自動化にもつながっており、新しいモデルの開発からデプロイまでの時間が大幅に短縮されているとのことだ。
このことは、AMDがHeliosと同時に発表した「ROCm.ai」におけるAIによるGPUコーディング支援機能につながるものであり、AI大手との提携がチップ供給者であるAMDの開発やソフトウェア改善にもつながっていることが分かる。
もう1つ興味深いのは、CerebrasのシステムとHeliosを組み合わせるソリューションの展開に関する話だ。
Cerebrasはウェハ大サイズの巨大なAIチップを開発するベンダーとして知られるが、同一チップ内で演算器同士が共存することでスループット(実効速度)を向上しやすいという強みを生かして、AIの超低遅延推論処理サービスも提供している。
- →Inference Cloud(Cerebras)
このサービスは、特にAI推論のフェーズにおける最終的なデコード処理に適している。これとHeliosサーバをつなげることで、超低遅延での推論出力が可能となるということが、今回の提携の目玉である。
Inference CloudとHeliosの連携は2026年後半から提供を開始する予定で、その後に他のAIデータセンターにもこの仕組みを展開していく予定とのことだ。
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