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ローカルLLMをNPU単体で動かせる「Lemonade Server」をRyzen AI 9 HX 470搭載の「Minisforum AI X1 Pro-470」で試してみた(2/3 ページ)

MINISFORUMの「AI X1 Pro-470」は最新のRyzen AI 9 HX 470と優れた拡張性を備えたミニPCだ。NPU単独でローカルLLMを推論させることでGPUリソースを解放できる、本機の真価を検証した。

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外部拡張だけにとどまらない!

 続いて内部構造を確認する。メモリ用としてDDR5 SO-DIMMスロットを2基、ストレージ用としてM.2 2280スロットを3基装備する。各スロットとも最大4TBのSSDに対応するため、システム全体で最大12TBという大容量ストレージを構築可能だ。

 ただし注意点もある。M.2スロットのうち0番と1番はPCIe 4.0×4で動作するため超高速伝送が可能だが、2番スロットはPCIe 4.0×1接続となる。そのため、2番スロットの転送速度は最大毎秒1900MB程度に制限される点は把握しておきたい。

 ネットワーク機能としては、有線LANに加えM.2 2230サイズの無線カードを標準搭載する。対応ルーターと組み合わせることで最新規格のWi-Fi 7やBluetooth 5.4が利用でき、LANケーブルの配線が難しい環境でもストレスのない通信環境を実現できる。

 ドコモ光 10G回線に「UniFi Dream Router」と「U7 Pro」を2.5GbEで接続した筆者の環境でスピードテストを実施したところ、下り最大680Mbps、上り最大500Mbpsを記録した。ワイヤレス環境としては非常に高速な通信速度だ。

 メモリの増設性やM.2 NVMe SSDを3枚装着できる点、USB4とOCuLinkの双方を備える点、さらに2.5GbE LANやWi-Fi 7への対応まで含めると、本機がミニPCの枠を超えてメインデスクトップPCとして十分に活躍できるポテンシャルを備えていることが分かる。

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メモリやNVMeスロットにアクセスする場合、裏ぶたのネジ5つを取り外し、さらに内部のネジ8本を取り外す必要がある。取り外すパーツにはケーブルもつながっているので注意が必要だ。

最新プロセッサ「Ryzen AI 9 HX 470」のパフォーマンスを検証

 各種ベンチマークテストの結果を見る前に、まずはAI X1 Pro-470に採用されている「Ryzen AI 9 HX 470」のスペックについて整理しておこう。

 Ryzen AI 9 HX 470は12コア24スレッド、最大ブーストクロック5.2GHzを誇る高パフォーマンスプロセッサだ。前世代の「Ryzen AI 9 HX 370」と同様に、Zen 5コアとZen 5cコアを組み合わせたヘテロジニアス(異種混合)構成を採用している。

 内蔵GPUには前モデルと同じ「Radeon 890M」が据え置かれている。一方で注目したいのがNPUの進化だ。NPU単体の処理性能は55TOPSに達し、前モデルの50TOPSから5TOPS向上している。

 なお、製品ページなどでうたわれている「最大86TOPS」という数値は、CPU・GPU・NPUの総合合算値であり、NPU単体の性能値ではない点には留意しておきたい。

 率直に言えば、これまでのNPUは使い道が限定的だった。Copilot+ PCの機能支援などに用途が限られており、スペック上で55TOPSといわれてもピンとこないユーザーが多かったはずだ。

 しかし現在、Ryzen AIを取り巻くエコシステムにおいて、NPUの存在価値を劇的に変える環境の変化が起きつつある。その詳細については、後半のローカルLLM検証セクションで深く掘り下げていく。

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最新世代のRyzen AI 400シリーズの「Ryzen AI 9 HX 470」を搭載している

PCMark 10

 それでは、各種アプリケーションの動作からPCの総合性能を計測する「PCMark 10」の検証結果を見ていこう。前モデル(AI X1 Pro)からの進化幅を確認するため比較値を掲載した。スコアの詳細は以下の通りだ。

  • 総合スコア
    • AI X1 Pro-470:8638ポイント
    • AI X1 Pro:7373ポイント
  • Essentials
    • AI X1 Pro-470:1万596ポイント
    • AI X1 Pro:1万531ポイント
  • Productivity
    • AI X1 Pro-470:1万5933ポイント
    • AI X1 Pro:9804ポイント
  • Digital Content Creation
    • AI X1 Pro-470:1万361ポイント
    • AI X1 Pro:1万970ポイント

 Webブラウジングやビデオ会議、アプリ起動など日常的な作業性能を評価する「Essentials」のスコアは、前モデルとほぼ同等だった。

 写真/動画編集や3Dレンダリングなどグラフィックス性能を映す「Digital Content Creation」では、前モデルをわずかに下回った。内蔵GPUが前モデルと同じRadeon 890Mのままであることを考慮すれば、順当な結果といえる。

 一方、オフィスワークや軽めのコンテンツ制作を想定した「Productivity」では、1万5933ポイントという優れたスコアをマークした。内訳もSpreadsheetsが1万8027ポイント、Writingが1万4084ポイントと高く、表計算や文書作成などのビジネス用途において極めて快適に動作する実力を示している。

 前モデルのProductivityスコア(9804ポイント)と比較すると大きな開きがあるが、この差をそのままCPUの世代間ギャップと断定するのは早計だ。前モデルの計測から時間が経過しており、Windows 11やベンチマークアプリ自体のバージョンアップデートによる影響が含まれている可能性が高いためだ。

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PCMark10ベンチマーク結果

Cinebench R23

 続いて、純粋なCPU演算性能を評価する「Cinebench R23」の結果を確認しよう。同テストは固定のワークロードで実行されるため、測定時期が異なるデータ同士でも精度の高い比較が可能だ。

  • マルチコア
    • AI X1 Pro-470:2万2783ポイント
    • AI X1 Pro:2万1687ポイント
  • シングルコア
    • AI X1 Pro-470:2073ポイント
    • AI X1 Pro:2018ポイント

 結果はマルチコアで約5%、シングルコアで約3%の性能向上となった。Ryzen AI 9 HX 470は、前世代のHX 370からコア構成やiGPUを変更せず、最大ブーストクロックを0.1GHzクロックアップしたマイナーチェンジモデルだ。それを踏まえれば、今回の結果は仕様通りの極めて順当な伸び率といえる。

 結論として、AI X1 Pro-470はCPU処理性能の飛躍的向上を目的としたモデルではない。前モデルのポテンシャルを正統進化させつつ安定維持させた製品であり、本機の本当の真価は別の部分にある。それが、これから解説する「NPUの活用」だ。

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