ローカルLLMをNPU単体で動かせる「Lemonade Server」をRyzen AI 9 HX 470搭載の「Minisforum AI X1 Pro-470」で試してみた(1/3 ページ)
MINISFORUMの「AI X1 Pro-470」は最新のRyzen AI 9 HX 470と優れた拡張性を備えたミニPCだ。NPU単独でローカルLLMを推論させることでGPUリソースを解放できる、本機の真価を検証した。
MINISFORUM(ミニズフォーラム)は、ミニPCを中心に展開するPCメーカーだ。小型ボディーでありながら高い拡張性を備えた製品を数多く手掛けており、日本国内を含むミニPC市場において存在感のあるブランドの1つに成長している。
今回紹介する「AI X1 Pro-470」は、2025年6月に取り上げた「AI X1 Pro」の後継モデルだ。前モデルはCPUに「Ryzen AI 9 HX 370」を採用し、3基のM.2 NVMeスロットやOCuLink、USB4ポートを備えるなど、ミニPCとしては非常にアグレッシブな拡張性を誇る1台だった。
一方、新モデルのAI X1 Pro-470は、筐体設計をほぼ踏襲しつつ、CPUを最新世代の「Ryzen AI 9 HX 470」へと刷新したモデルだ。スペックの数字だけを見るとマイナーチェンジのように思えるかもしれないが、実際に検証してみると本質的な魅力は別のところにあると感じた。その詳細については、後半のローカルLLMの検証セクションで詳しく解説する。
充実したインタフェースと拡張性 メインPCとしても申し分ない強力なミニPC
まずは外観から確認していこう。ボディーは前モデルのAI X1 Proから据え置かれており、サイズは約195(幅)×195(奥行き)×47.5(高さ)mmだ。ミニPCとしてはやや大柄な部類に入るが、その分、内部の拡張スロットや冷却機構に十分な余裕を持たせた設計となっている。
前面インタフェースは、左からUSB 3.2 Gen 2 Standard-A×2、USB4×1を備える。このUSB4ポートはDisplayPort Alternate Modeによる映像出力と、最大15WのUSB PD(Power Delivery)給電に対応する。さらにその隣には、3.5mmコンボジャックとMicrosoft Copilotをワンタッチで起動できるCopilotボタンが並ぶ。
右側面にはSDメモリカードスロットを備える。最近のデスクトップPCでSDカードスロットが標準装備される例は減りつつあるだけに、日常的にカメラを使うユーザーにとっては、外付けリーダーを用意せずとも画像や動画を取り込める利点がある。
なお、SDスロットの転送速度に関する公称値が未公表だったため、手持ちの「ProGrade Digital SDXC UHS-II」を装着してCrystalDiskMarkで転送速度を測定したところ、シーケンシャルリードは毎秒37.29MBにとどまった。
デバイスマネジャーを確認すると、接続方式はPCI ExpressではなくUSB 3.0ルートハブの配下となっていた。また、「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」の表記が「USB2.0-CRW」となっていることから、内部的にはUSB 2.0接続で動作していることがうかがえる。
容量の大きい画像や動画を取り込む場合、高速な外付けカードリーダーと比べて転送に時間を要する点は、本機の数少ない惜しい部分といえる。
続いて背面のインタフェースをチェックしよう。まず目を引くのは、2.5GbE対応のRJ45(有線LAN)ポートが2基並んでいる点だ。コントローラーにはRealtekの「RTL8125」を採用している。デュアルLAN構成のため、それぞれ異なるネットワークセグメントへ接続するといった運用も容易だ。
映像出力端子は、HDMI 2.1(FRL対応)×1、DisplayPort 2.0×1を装備する。さらに、DisplayPort Alternate Mode対応のUSB4×1(最大100W入力/最大15W出力に対応)の他、OCuLink×1、USB 2.0 Standard-A×1という非常に充実した構成だ。
ここで注目すべきは、前モデルから継承されたUSB4とOCuLinkの両ポートを同時に備えている点である。これらを活用すれば、外付けGPUボックス(eGPU)を接続し、後からグラフィックス性能を大幅に引き上げることが可能となる。
特にOCuLinkはPCI Express信号を直接引き出す規格のため、USB4経由に比べて帯域のロスが極めて少ない。ホットスワップ非対応という制限はあるものの、USBコントローラーを介さない分、より高い伝送効率と安定した動作が期待できる。
用途はeGPUの接続にとどまらない。OCuLinkやUSB4を介して10GbE対応のNICを増設するなど、柔軟なシステム拡張が可能だ。通常のミニPCは内部スロットがないため購入時のスペックで頭打ちになりやすいが、本機には後からシステムを強化できる十分な拡張性が確保されている。
本体天面には、Windows Hello対応の指紋認証センサーを搭載している。デスクトップPCでありながら別途周辺機器を追加することなく、ノートPC感覚でスムーズに生体認証ログインを行えるのは魅力だ。
一見すると地味な装備に思えるが、日常的な使い勝手を大きく左右するポイントだ。PINやパスワードの手入力を省略できるため、電源投入から作業開始までの体感速度は大幅に短縮される。
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