東芝 dynabook SS S8――軽さ×薄さ×堅牢性を追求した、Centrinoモバイルノート(4/4)「FINAL FANTASY XI Official BenchMark Ver.1.1」も試してみたが、結果は下記のようになった。S8でFINAL FANTASY XIのベンチマークソフトが起動しなかったのは、Intel 855GMがハードウェアT&Lを実装していないためだろう。
前モデルより、後継モデルでグラフィックス性能が低下しているという点の評価が難しいが、ただ、このマシンがグラフィックス性能より携帯性を重視するモバイルノートであることは十分考慮しておく必要があるだろう。 グラフィックス性能が高ければそれに越したことはないが、それによってボディサイズがアップしたり、バッテリー駆動時間が短くなったりしてしまっては、モバイルノートとして本末転倒だからだ。 筆者としては、東芝がS8で「Intel 855GM」という統合チップセットを選択したのは当然の流れだと思う。S7で外付けを選択したのは、当時、Pentium M対応のチップセットがグラフィックス機能なしの「Intel 855PM」しかなかったためだろう。実際、ベンチマークで比較すれば、S8のグラフィック性能はS7に劣るが、Webページの閲覧や電子メールの送受信、ワープロなど、モバイルユースで考えられる一般的な用途であれば、その性能は十分なものだ。 もちろん、3Dグラフィックス機能にこだわるのなら、S7という選択もアリだ。だが、DirectX 9対応の最新3Dゲームをプレイしたり、3DCGを作成したりしたいという場合は、そもそもdynabook SSシリーズのようなモバイルノートではなく、ほかのセグメントのマシンを選ぶべきだろう。
インタフェースは、USB 2.0×2、CardBus対応PCカードスロット(TYPE II)×1、SDメモリーカードスロット、10BASE-T/100BASE-TX Ethernet、IEEE802.11b準拠のインテル製無線LAN「Intel PRO/Wireless 2100」、56kbpsモデム(世界61地域対応)、RGB出力(ミニD-Sub15ピン)、ヘッドホン出力、マイク入力を備える。さらに、S8では赤外線通信ポート(IrDA1.1準拠)が加わり、PDAなどとのデータ連携が便利になった。無線LANアンテナの感度も良好だ。 なお、Pentium MとIntel 855ファミリーチップセットに加え、インテル製の無線LANモジュールを採用したことで、S8もS7と同様にCentrinoロゴを取得している。
![]() 前面はセンターにラッチがあるだけのスッキリしたデザイン
![]() 右側面には、CardBus対応PCカード(TYPE II)スロット×1、無線電波オン/オフ切り替えスイッチ、赤外線通信ポート(IrDA1.1準拠)、ヘッドホン出力、マイク入力が並ぶ
![]() 左側面には、SDメモリーカードスロット、セキュリティロックスロットを装備する
![]() 背面には、USB 2.0×2、Ethernet、モデム、RGB出力がある OSは、Windows XP Professionalをプリインストール。アプリケーションソフトは、ウイルス対策ソフト「Norton AntiVirus 2003」、路線検索ソフト「駅すぱあと」、東芝オリジナルの英日・日英翻訳ソフト「The翻訳インターネットV7.0LE」や有線/無線ネットワーク自動切り替えソフト「ConfigFree Ver.2.0」などが付属している。
ここまでS8とS7を比較してきたが、モデルチェンジの期間が短かったせいもあり、変更点は小規模にとどまり、全体としてはマイナーチェンジという印象だ。グラフィックス性能のダウンというマイナス要素はあるものの、反対にバッテリー駆動時間などは伸びており、モバイル性能を追求しているマシンでありながら、デスクトップ代わりとしてもある程度使えるパフォーマンスを持っている。目立った欠点もほとんどなく、完成度の高いマシンだ。 ユーザーにとって問題は、今が買い時と決断できるかどうかだろう。今年は3月にPentium MとAthlon XP-Mがリリースされたが、秋に90ナノメートル・プロセスルールの次期Pentium M(Dothan)、年末にTM8000(Astro)といったモバイル向けCPUが登場。モバイルノートにとっては激動の1年になるからだ。これはなにも東芝のノートに限ったことではなく、すべてのモバイルノートPCにあてはまる話だが……。 今すぐ買う必要がなければ、秋・冬の次期モデルを待つという手もある。しかし、現行のモデルも十分に高性能なのだし、Dothanは、現行のPentium Mと省電力性能やパフォーマンスはあまり変わらないという予想もある。確かに購入のタイミングが難しいが、もしそのマシンが気に入ったのであれば、思い切って購入するのは悪くない決断だと思う。
関連リンク [高柳政弘, ITmedia ] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
FEED BACK |