HSPA+は、ウィルコムやUQにも負けない速度――イー・モバイルの阿部氏
ADSLなみの高速データ通信を外出先でも体感できる――。これがイー・モバイルが提供する下り最大21.6MbpsのHSPA+サービスだ。イー・モバイル副社長の阿部氏は、“WiMAXやXGPに負けない速度”と自信を見せた。
「マンションタイプの光やADSLなみの速度を外出先でも体感できる」――。8月上旬からイー・モバイルが提供するHSPA+は、こんなブロードバンドの世界を実現するサービスだ。
HSPA+は、下り最大21.6Mbpsの高速データ通信サービスで、イー・モバイルの提供するデータ通信サービスの最高速度は、現状の7.2Mbpsから一気に約3倍に高速化される。日本初となるHSPA+の導入を控え、イー・モバイル 執行役員副社長の阿部基成氏がサービス概要と今後の戦略について説明した。
実際の速度について阿部氏は、フィールド試験のサンプルデータを紹介。横浜ポルタの地下で15.2Mbps、東京駅地下で14.8Mbps、新宿東口アルタ前で12.7Mbps、秋葉原ヨドバシAkiba前で11.0Mbpsの速度が出たという(測定時平均値)。説明会の会場でも、「記者が入る前には瞬間で20Mbpsが出た」といい、ヘビーユーザーがいなければ19Mbps近い速度を安定して出せるとした。
21Mbpsサービスのエリア展開については、2009年12月までに、人口カバー率60%超を目指す。また地下鉄のエリア化に注力する考えで、東京メトロと都営地下鉄については今年度中に21Mbpsも含めて、完全エリア化する予定だ。東名阪の地下鉄駅についても「今年度中にほとんどの場所で7.2Mbpsのエリア化ができ、その中のかなりの部分は21Mbpsに対応する」(説明員)という。
21メガサービス用の端末は、下り最大21Mbps/上り最大5.8Mbpsの高速通信が行えるUSB接続型のデータ端末「D31HW」(中Huawei製)を用意。当面はこの1モデルのみの展開になるとした。
阿部氏は、今後のイー・モバイルのサービス戦略について(1)「最速」「最安」の追求(2)汎用的な商品ラインアップ(3)世界標準でのあくなき高速化(4)強力な販売チャネル・販売モデル の4点を軸に展開すると説明。21Mbpsサービスの導入については、「世界初は逃したが、(日本の)業界初で提供される。料金も業界内では最安水準で提供しており、今回新たに最低580円からの料金プランを導入する」と、サービス戦略に沿った展開に自信を見せた。
今後の高速化のロードマップについては、世界でスタンダードになる技術を見つけ、それを最短で日本に持ち込むとし、2010年9月に下り最大40MbpsのDC-HSDPAを導入する予定としている。
販売チャネルの拡大については、ジャパネットたかたと提携したことを明らかにし、6月19日から「たかた社長が“セットで9800円”と連呼する、ミニノートPCとのセット販売を開始する」(阿部氏)と発表。9800円のセット内容については「ミニノートPCとデータ通信カードだけでは、“100円PC”のほうがお得になってしまう。何らかの商品が加わったセットになるのではないか。詳しいことは明日の放送まで秘密とのことなので楽しみにしてほしい」(説明員)というにとどめた。
モバイルブロードバンドの世界は、急速な高速化が進んでおり、UQコミュニケーションズが下り最大40MbpsのモバイルWiMAX、ウィルコムが上り下り最大20MbpsのWILLCOM CORE XGP(試験サービス)を提供している。
競争環境が激化する中でのイー・モバイルの立ち位置について阿部氏は「HSPA+は、実測で10Mbps以上を出せる技術で、パフォーマンスの面で、ウィルコムやUQに対抗できる」と説明。21MbpsサービスのMVNOも、時期は未定としながらも積極的に展開するとし、自社サービスだけでなく、ISPや他社ブランドと力を合わせて市場を盛り上げたいと話す。
相次いで10Mbps超の“真のブロードバンドサービス”が開始されたことについては、「これまで1社でモバイルブロードバンドの市場を広げていたが、3社になることで認知が広がる。市場にとってはプラスになる」という見方を示した。
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