企業向けは15%以上の値上げに、3社で最大は東北電力:電力供給サービス
北海道・東北・四国の3電力会社が9月から適用する新料金が決まり、地域間の料金格差も変動する。3社ともに料金が自由化されている企業向けの値上げ率が大きく、標準的なメニューで15%以上も高くなる状況だ。値上げ幅が最も大きいのは東北電力で、東京や沖縄に次ぐ水準まで上昇する。
企業向けの電気料金のうち、小規模な工場や店舗が利用する「低圧」は家庭向けと同様に国の認可が必要だが、規模の大きいオフィスビルなどが使う「高圧」の場合は自由化されている。北海道・東北・四国の3電力会社は9月から家庭や工場・店舗向けに適用する低圧の新料金に合わせて、企業向けの高圧の料金も改訂する。
高圧の標準的なメニューで比較すると、3社の中では東北電力の値上げ幅が最も大きく、電力1kWhあたり2.42円も高くなる。従来の単価に対して18〜19%の上昇率だ。次いで四国電力が2.03円、北海道電力が1.86円の値上げで、いずれも15%以上の値上げ率になっている。
全国の10電力会社の中では、東北電力の新料金は東京電力と沖縄電力に次いで3番目に高くなる(図1)。基本料金が低めではあるものの、大量の電力を使う企業にとっては大幅なコスト増になることは確実だ。
一方、認可の対象になる低圧の単価でも、東北電力の値上げ幅が最も大きい(図2)。従来は北陸や中部と並ぶ低い水準だったが、値上げによって平均を上回る単価になった。新潟県のように東北電力の営業地域に含まれながら、隣接する富山県が料金の安い北陸電力の営業地域になっているようなケースだと、県境を越えて電力の調達を望む企業が数多く出てきそうだ。
とはいえ北海道電力と四国電力の値上げ幅が東北電力よりも小さいのには理由がある。値上げのベースになる原価の算定にあたって、東北電力は原子力発電所の再稼働時期を2年後の2015年7月から想定しているのに対して、北海道電力と四国電力は2013年中の再稼働を前提にしている。
そのぶん北海道電力と四国電力は火力発電の燃料費を少なく見積もっているため、原子力発電所を予定通りに再稼働できない場合には原価が大幅に増加する見込みだ。状況によっては早期に再値上げする可能性もあり、両地域の利用者にとっては心配な状況が続く。
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