関西が4.2%減で最大の落ち込み、2014年度の販売電力量は10地域すべて減少:電力供給サービス
2014年度の電力会社10社の販売電力量は軒並み前年度の実績を下回った。最も大きく落ち込んだのは関西で、次いで九州、東京の順に、市場規模の大きい地域が3%を超える減少率になった。一方で1%未満の減少にとどまった北陸と沖縄では、産業用の需要が前年度を上回る回復ぶりだ。
10地域の販売電力量がすべて前年を下回ったのは、東日本大震災が発生した2011年度以来である。集計結果をまとめた電気事業連合会は天候による冷暖房需要の減少を理由に挙げているが、もはや構造的に市場が縮小していることは明らかだ。特に市場規模が大きい地域の減少が目立つ。
筆頭は関西で前年度から4.2%も落ち込んだ。特に家庭を中心とする「電灯」の販売量が5.2%も減っている(図1)。2015年度は電気料金の再値上げでさらに販売量が減少することは確実で、2016年度には小売の全面自由化もある。すでに自由化されている企業向けではオフィスが利用する「業務用」で4.8%減、工場が利用する「産業用その他」は2.8%減だった。
同様に東京と九州の状況も深刻だ。東京では電灯と業務用が4%以上も減った。九州でも電灯が4.3%、業務用は6.0%と10地域で最大の減少率になっている。この2地域を含めて、産業用の電力だけは相対的に小幅な減少にとどまった。景気の回復が工場の電力需要を押し上げている。中でも北陸・中国・沖縄の3地域では産業用の販売量が前年度を上回った。
地域によって減少率に大きな差が生じた結果、10社のシェアにも変化が見られる。販売量で第2位の関西電力と第3位の中部電力の差が縮まってきた。2013年度には両社の差は133億kWh(キロワット時)あったが、2014年度に104億kWhまで縮小している(図2)。2015年度にはさらに縮まることが予想され、小売全面自由化後の状況によっては第2位と第3位が逆転する可能性も大いにある。
第4位の九州電力と第5位の東北電力のあいだにも同様の傾向が見られる。2013年度の70億kWhの差から2014年度には47億kWhまで縮まった。原子力に注力する関西電力と九州電力のシェアが低下していることは現在の電力市場を象徴している。
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