中東情勢の影響と今後の見通しは? 燃料・石油製品の供給力確保と国内資源開発の現況:「中東情勢に関する関係閣僚会議」/第46回「資源・燃料分科会」(4/4 ページ)
国際情勢の不安定化で懸念される日本の化石燃料調達。国の関係閣僚会議では燃料や石油製品の最新需給動向が、総合資源エネルギー調査会「資源・燃料分科会」では、燃料などの安定供給確保の状況が報告された。
国内地下資源の探査状況
中東情勢の影響を緩和するためには、国内資源の開発が重要である。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が保有する三次元物理探査船「たんさ」は、日本周辺海域における石油・天然ガス資源の探査を行っており、探査データの整備や活用も進んでいる。ただし、実際の試錐に至る件数はごくわずか(数年に1件程度)であり、試錐における高いリスク・コスト負担等が課題とされている。
また、「たんさ」のデータは、近年では海底CCS(CO2地下貯留)の検討にも用いられているが、浅海域(水深100m以浅)はデータ空白地帯であることが課題とされており、今後はCCSや洋上風力等の用途も視野に、柔軟かつ効率的な物理探査の実施方策について検討する予定としている。
国内の天然水素資源の可能性
炭素型の新たな地下資源の一つとして、天然水素が国際的に注目されている。日本では長野県白馬八方温泉等で天然水素が観測されており、海外では天然水素の探鉱及び開発に向けた取組が進められている。
天然水素は、地下において地質学的反応により生成するものであり、主に「かんらん岩の蛇紋岩化反応」、「水の放射線分解」及び「断層の活動に伴う反応」等により生成することが知られている。日本は蛇紋岩等が全国的に分布しており、温泉水等に水素が観測された事例も複数ある。
天然水素の探鉱及び開発は黎明期にあり、今後の開発に向けては産官学が連携し、必要となる技術や知識の蓄積を進めていく必要がある。海外では天然水素を鉱物資源として明確化する動きや規制対象として分類する国もあり、今後日本でも適切な事業環境の整備が求められる。
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