電力供給の安定化を目指す「中長期取引市場」、新設に向けた制度設計が本格化:第2回「中長期取引市場検討WG」(4/4 ページ)
安定的な電力供給を図るため、中長期の電力取引を行う新たな市場として創設が予定「中長期取引市場」。同市場における商品設計や入札方法等の具体的な制度設計について、本格的な検討がスタートした。
中長期取引市場の市場分断リスクへの対応
制度設計WGでは、中長期取引市場において連系線を利用した取引を行う際には、現行のベースロード市場と同じく、スポット市場を介して行うと整理されており、市場範囲を「A案:単一市場」または「B案:複数市場」とする場合には、市場分断(エリア間値差)の発生が不可避となる。近年のエリア間の市場分断率は図6のとおりであり、3年後の分断率を正確に予想することは非常に困難と考えられる。
エリア間値差の清算方法としては、「基準価格」を設け、その基準価格と自らの入札エリア価格との値差を清算することが考えられ、基準価格の設定方法としては、以下の3つが考えられる。
- 約定した取引の売り入札エリアとする方法(買い手がエリア間値差リスクを負う)
- 約定した取引の買い入札エリアとする方法(売り手がエリア間値差リスクを負う)
- あらかじめ基準エリアを設定する方法(売り手・買い手双方が自らの入札エリアと基準エリアとのエリア間リスクを負う)
市場範囲をA案・B案としてエリア指定入札を認めない場合、入札者は約定後に初めて当該約定の値差リスクを把握することが可能となり、事前に値差リスクのヘッジや値差リスクを踏まえた入札価格の設定が困難となるため、リスクを負う入札者は入札を躊躇するおそれがある。
このため、市場範囲をA案・B案とする場合の基準価格の設定方法は、「3.あらかじめ基準エリアを設定する方法」として、各市場範囲において約定量が最大となるエリアのエリアプライスを採用することとした。例えば、B案の複数市場(東日本・西日本)とする場合、東日本では東京エリアプライス、西日本では関西エリアプライスを採用することになる。
この東日本の例の場合、東京エリア以外に立地する発電所(売り手)は値差リスクを考慮した売り価格、東京エリア以外の小売事業者(買い手)は値差リスクを考慮した買い価格を提示せざるを得ず、両者の目線は相対的に合いにくいと想定される。
中長期取引市場検討WGでは引き続き、入札価格の考え方や市場監視の方法、供出量を高める方策等について検討を進める予定としている。
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