コラム
古きよき終着駅も通過駅へ――欧州の鉄道事情:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
欧州の大きな駅で、よく見ることができる「終着型駅」。発着本数が少なかった昔は問題なかったが、現代の交通システムには向いていない。そこで「通過型駅を造ろう!」といった動きも出ているが、反対意見も多いようだ。
2019年開業予定
ホームの地下化により、中央駅に隣接する中心市街地に合計100ヘクタールの土地が生まれる。区画はA1、A2、B、Cのように区切られ、事業所、住宅、公園として再開発される予定だ。A1は事業所区画となり約2000人の就業が見込まれ、A2区画には住宅、BとC区画には住宅と緑地公園が建設される。実はこの跡地の売却が不況の影響でなかなか進まず、これも州議会の承認が遅れた理由の1つである。
中央駅内に設置されているPRセンターの職員によれば他の反対理由として「プロジェクトに対する誤解」も大きいという。例えば歴史的価値の高い駅舎まで取り壊されると考えている市民もいるが、実際にはこの駅舎は継続して利用される。また「変化に対する漠然とした不安」を抱く市民も多いが、これは巨大プロジェクトには付きものの問題であろう。
計画通りに進めば2019年に新しい中央駅と路線が開業し、中央駅−ウルム駅が54分から28分へ、中央駅からミュンヘン中央駅が2時間10分から1時間44分へ、中央駅−シュトゥットガルト空港が27分から8分へと短縮される。
跡地の区分けと地下化されるホーム・線路(左、出典:Stuttgart21, Stuttgart)、中央駅内に設けられたプロジェクトのPRセンター。地域住民はもちろん、開発プロジェクトを抱える海外都市からの見学も多い(右)
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