2015年7月27日以前の記事
検索
連載

第40鉄 夏の青春18きっぷ旅(4)日本一のモグラ駅をズルい方法で訪ねた杉山淳一の+R Style(2/7 ページ)

記録的な猛暑の夏、涼を求めて彷徨う青春18きっぷの旅。4回目は地下70メートルの上越線土合駅と、そこから徒歩で行ける谷川ロープウェイを訪ねた。太陽の光が届かない「トンネルの中の駅」なら、きっとひんやりしているはず……。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

上越線で水上へ、ちょっとズルしてバスに乗る

 午前7時台の水上行きはかなり混んでいて、弁当を開くには勇気が要る。車窓左手は利根川沿いの田園地帯で、線路の高度が上がるに連れて町並みが広がって見える。遠くに山並み。右手は榛名山を望む。イチゴ農園のビニールハウスがいくつか見える。いまはクリスマス用のショートケーキ用を栽培中かな。トンネルを過ぎると車窓左手に利根川が寄り添った。晴天と輝く川面。東京から各駅停車を乗り継ぎ、2時間ちょっとでこんな景色に出会えた。

 沼田で高校生の皆さんが降りて、車内が静かに。そして私の向かいも空席になった。水上までは約20分。慌てて「チャーシュー弁当」を平らげる。「冷めてもウマイ」が駅弁の至上課題。焼き豚は柔らかく、脂身は口の中でとろける。付け合わせの「舞茸わさび和え」を含むと、さわやかな香りが広がった。


朝食は「チャーシュー弁当」。肉が軟らかい

 水上駅で下車。目的地の土合駅は各駅停車に乗り継いで2つめの駅。次の列車は約1時間後だ。その列車で行くと、望み通りにトンネルの中の土合駅ホームに着き、堤真一さん気分を体験できる……。しかし、486段の階段である。確かにトンネル内は涼しいだろうけれど、上り階段はキツイ。できれば上らないで駅舎に行きたい。実は土合駅のトンネルホームは下り線だけ。上りホームは地上にある。だから、下り列車で1つ先の土樽に行き、上り列車で戻るという方法がある。青春18きっぷの「乗り降り自由」を活用したアイデアだ。

 ところが、上越線の各駅停車はとっても少なくて、土樽駅で2時間も待たなくてはいけない。乗り継ぎの1時間を足すと3時間待ち。のんびり各駅停車の旅とはいえ、これでは時間がもったいない。そこで時刻表をひっくり返すと、都合の良い路線バスがあった。水上から土合駅を経由して、谷川岳ロープウェイ乗り場行きというバスだ。青春18きっぷの旅で、しかも鉄道の名所を訪ねようという目的にもかかわらず、バスで行くとはズルイ気もする。だけど、谷川岳ロープウェイも乗ろうと思っていたから好都合。

 このバスは国道291号線、通称「奥利根ゆけむり街道」を行く。鉄道だとこの先はトンネルばかりだけど、バスはのんびり山道を行くので良い景色。車内には電車内で見かけた若い女性グループも乗っていた。谷川岳に行く一般的なルートはバスのようだ。土合駅の階段を上るなんて、きっと登山客のウォーミングアップくらいなんだろう。


鉄道の旅だけどバスで……

バスの車窓もなかなかのもの

谷川岳リフトは下りの方がスリルたっぷり

 バスの窓から土合駅を眺めて、終点のローブウェイ土合口駅へ。トンネル駅は日が暮れてから行ってもいいから、眺望の良いローブウェイを先にした。谷川岳ロープウェイは延長約2300メートル、2本のケーブルをゴンドラより幅広に張る「フニテル式」というそうだ。ゴンドラの屋根から外側にアームが伸びて、映画『スタートレック』に出てくる宇宙船のようだ。


谷川岳ローブウェイは宇宙船のようなフニテル式

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る