カシオの腕時計デザイナーが語る、オシアナス「OCW-T1000」の魅力(2/4 ページ)
カシオ計算機のフルメタルクロノグラフ電波ソーラーウオッチ「オシアナス」の新作として「OCW-T1000」が登場。その魅力とこだわりを時計デザイナーに聞いてみた。
――T1000は、オシアナスの中でもどんな位置付けになるのでしょうか?
藤原 エレガントラインの製品として好評を得ている「Manta S1400」(OCW-S1400)に比べると、T1000はやや若い30代前半の層を中心に、特にモノ好きや機械好きの人たちを狙ったモデルです。といっても、子どもっぽいデザインにはならないようにしています。
T1000の大きな特徴は、カシオで初めて電子式リューズスイッチを搭載したスマートアクセス対応モデルという点です。これまでオシアナスにはリューズがありませんでしたが、初めてリューズを付けるということで、他社とは違う特徴のあるリューズまわりにしたい、店頭で埋もれないようなデザインにしたい、という思いがありました。
――リューズをデザインする上で考えたことは?
藤原 すっきりとまとめるのではなく、アイキャッチになるような特徴を出したいという考えから、デザイン当初はもっと大きくて、ごついものにしようというプランがありました。また、直感的に回せるリューズは丸い形状ではなくてもいいという発想もありました。
実は、リューズという呼び方はあまりせず、これはカシオ独特のスイッチなんだ、という考え方をしています。例えばスイッチ系のデザインなどさまざまなアイデアを検討し、デザインの試行錯誤を重ねました。
そして、最終的には「スーツ」に似合うという点を重視しながら、リューズスイッチの現在のデザインとして結実しました。人によっては好き嫌いはあるかもしれませんが、これならスーツにも似合いつつ、クセになるギリギリのデザインだと思います。あまりきれいにまとめると他社のモデルと似てしまいます。カシオならではのリューズを目指し、実現できたと考えています。
――カシオならではのリューズとは具体的にどんなことでしょうか?
藤原 リューズスイッチのデザインのポイントは、大型化のほか、他社があまりやらないような、蒸着をかけたガラスを先端にはめ込んだことです。操作面では、とにかく回しやすく、押しやすく、引きやすいこと。爪ではなく指の腹で引っ張り出せる形状といった点にこだわっています。
また、アラームセットとタイマーセットの際には、速く回すと大きく動き、ゆっくり動かすと細かく動く、というように回す速度に2段階の変化を付けたこともポイントです。
そもそもリューズの役割は、ゼンマイを巻くことや針を動かすことですので、電波ソーラー腕時計では、リューズは不要といえるかもしれません。しかし、例えばワールドタイムを操作するときなどは、針を回してセットし、行き過ぎたら逆に回してもどすといったことが自分の手で操作できます。
ユーザー自身がリューズで機構を制御し、時計の機能をコントロールできるのです。その感覚が従来のボタンスイッチよりも直感的で心地よく、使うことが楽しいと、感じていただけるようなリューズスイッチを目指しました。
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