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世界最大のオール2階建て旅客機、エアバスA380を解剖する秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/6 ページ)

2007年10月にシンガポール航空のシンガポール/シドニー線でデビューを果たしたエアバスのオール2階建て旅客機A380の、世界へのネットワークが広がっている。「空飛ぶ豪華ホテル」の異名をもつこの巨人機は、どんな発想から生まれ、旅の可能性をどう広げたのか?

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長距離の移動はゴージャスに!

 近未来の航空需要について、エアバスはライバルのボーイングと見解を異にしてきた。まずはその両社の“違い”について見ていこう。

 これからは都市間を直接結ぶ「ポイント・トゥ・ポイント」型の需要が高まる。そう予測したのがボーイングだった。都市と都市の間を何便も飛ばすには、当然運航コストが安い、高効率の機材でなければならない。そこで開発を進めてきたのが、前回レポートした燃費のよい次世代中型機787である。これに対してエアバスは、大空港を拠点に周辺都市へ車輪のスポークのように放射線状にネットワークを広げる──そんな「ハブ・アンド・スポーク」型で航空市場は発展を続けると考えた。各国の主要都市間はオール2階建て超大型機A380で一度に大量の乗客を運び、ハブ空港からそれぞれの目的地へはそこで小型機に乗り継いで移動させるというスタイルだ。

飛行機と空と旅
大都市と大都市を結ぶロングフライトでは、超大型機の機内でくつろぎながら過ごしたい

 両社の主張については、おそらく賛否が分かれるだろう。「目的地までダイレクトに飛べるほうが絶対にいい」とボーイングに一票を投じる人も少なくない。しかし一方で、フライトは決して単なる移動の手段ではないというこんな意見もある。

「例えばヨーロッパへの1週間程度の旅行で、往復にかかる20時間以上を“単なる移動”と割り切ってしまってはもったいないですよ。1週間のうちの貴重な1日だし、その時間も旅のひとときに含まれているという発想に立ってみると、フライトもできる限り楽しく快適なものであってほしい。私は断然、A380での旅を選びます」

飛行機と空と旅
ルフトハンザのA380ビジネスクラス。スペースが広いぶん座席をゆったりとレイアウトできる(画像をクリックすると拡大します)

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