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第46鉄 雪国の美女とダイヤモンドダスト――米坂線杉山淳一の+R Style(1/6 ページ)

東京に雪が降った。雪が少ない地域に暮らしていると、わざわざ列車に乗って、雪を見に行きたくなる。4年前、2007年に乗った米坂線を筆者は今も忘れられない。生まれて初めて見たダイヤモンドダストと、美少女との出会いを……。

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 今日、東京に雪が降った。雪の少ない地域では、ほんのわずかな積雪にも心が躍る。テレビニュースは豪雪の被害を伝えているのになんだか申し訳ない気もするけれど、私を含め雪を愛でる関東人は多い。雪国の列車の旅も楽しい。雪景色の車窓は白く清く、自分の心の雑念さえ隠してくれる。だからわざわざ雪の降る町へ列車で出かけることもある。

 その中でも、もっとも印象深かった旅は4年前、2007年の米坂線だった。生まれて初めてダイヤモンドダストを見て、ちょっとした出会いがあった。

map
今回のルート。GoogleMapsで筆者による各ポイントについての説明が読める

新宿発23時09分、新潟行き「ムーンライトえちご」

 このときの旅の目的は、山形と仙台付近のローカル線めぐりだった。しかし私は方向違いの新潟行き臨時夜行快速「ムーンライトえちご」に乗った。遠回りした理由は、「米坂線」に乗ろうと思ったからだった。米坂線は新潟県坂町と山形県米沢を結ぶローカル線で、路線距離は90.7kmとかなり長い。関東に住む者にとっては無縁のルートだ。朝日山地と飯豊山地にはさまれた、かなり雪の深そうな路線だと予想する。だから、山形盆地に入る前に、米坂線でたっぷりと雪の車窓を楽しもう、という趣向である。

 東京から新潟のローカル線めぐりをするなら、「ムーンライトえちご」は都合のよい列車である。新宿発は1日の終わりの23時過ぎ。早朝5時前に新潟に着き、新潟エリアの一番列車に接続する。使用する車両は旧国鉄の特急型で乗り心地もよく、リクライニングシートを倒せばよく眠れる。青春18きっぷユーザー御用達の列車でもあるけれど、このときは周遊きっぷ「山形・松島ゾーン」を使った。周遊きっぷは指定ゾーンまでのルートを自由に選択できるから、東京から「山寺・松島ゾーン」に向かう場合に、今回のような新潟回りを設定できる。ゾーンまでの往復運賃は2割引だから、遠回りするほど得かもしれない。


新宿発、ムーンライトえちごで新潟へ

今回はグリーン車でぐっすり眠った

 「ムーンライトえちご」は新宿を出ると、湘南新宿ラインと同じルートで東北本線に合流した。私は大宮に着く前に眠ってしまった。トンネルを抜けると雪国だった……かどうかは定かではない。目覚めたときに新津駅の駅名標を見た。まだ真っ暗だった。

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