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太陽エネルギーで世界一周飛行を目指す、夢のソーラーインパルス・プロジェクト(前編)秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/5 ページ)

化石燃料をいっさい使わず、太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機で世界一周を実現する──そんな夢みたいなプロジェクトが現在、スイスを拠点に進行中だ。プロジェクトの詳細と現在までの取り組みを2回に分けて報告する。

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スイス人の冒険家、ベルトラン・ピカール

 このプロジェクトを先頭に立って率いる1人が、スイス人の冒険家であり、精神科医でもあるベルトラン・ピカール氏(53)だ。気球に乗って人類で最初に成層圏を飛んだ物理学者のオーギュスト・ピカールを祖父に、潜水艇バチスカーフトリエステ号で1960年に世界一深いマリアナ海溝のチャレンジャー海淵へ到達したジャーク・ピカールを父に持つ。そんなピカール家の血を受け継ぐベルトランもまた、1999年に熱気球による初の無着陸世界一周飛行を成し遂げた。

飛行機と空と旅
リーダーの1人、冒険家のベルトラン・ピカール氏(中央)

「気球に乗って地上を離れるときには4.2トンも用意した燃料が、世界一周飛行を終えたときには、たった40キロしか残っていなかったよ。そのときに強く思ったんだ。次は燃料をまったく使わないで飛びたい、とね」

 偉業を達成した直後の、ベルトランのそんな語録が残っている。太陽エネルギーだけに頼って飛行する「ソーラーインパルス」の着想を得た瞬間だった。

飛行機と空と旅
プロジェクトはスイス・チューリッヒ郊外を拠点に進められてきた

 そのベルトランがソーラーインパルスの会長を、そして相棒であるエンジニア出身のアンドレ・ボルシュベルグ氏(57)がプロジェクトの総責任者を務める。ボルシュベルグ氏はローザンヌ連邦工科大学やMITなどで修士号を獲得後、スイス空軍戦闘機や旅客機のパイロットとして活躍し、また多くの多国籍企業でマネジメント顧問としても実績を残してきた人物である。

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