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太陽エネルギーで世界一周飛行を目指す、夢のソーラーインパルス・プロジェクト(後編)秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/4 ページ)

2013年、ソーラーインパルスはいよいよ世界一周に挑む。そのための2号機“HB-SIB”の開発もすでにスタートした。夢への大きな一歩となった、2010年7月の“24時間連続飛行”。当時の様子を振り返りながら、2人のリーダーにインタビューに答えてもらった。

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雲の上を飛べば天候には左右されない

──まずは24時間飛行の成功、おめでとうございます。当日は天候にも恵まれたようですね。

ボルシュベルグ 天気はそれほど気にしていません。ある程度の風は想定して設計していますし、プロジェクトのメンバーには気象の専門家もいます。よく「天気が悪い日は太陽エネルギーが吸収できないのでは?」といった質問も受けますが、雲が多くてもその上(高度8500メートル)を飛ぶので、太陽光を受けるのに雲の多い少ないは問題ではありません。

飛行機と空と旅
高度8500メートルまで上がって太陽光を受けるので、天候には左右されない

──2009年の最初のフライトでは機体を地上からわずかに浮かせ、その後は1000メートルくらいの高度での飛行を繰り返してきましたね。それまでの実験と、今回の高度8500メートルを飛ぶというのとは、やはりずいぶん違うものでしたか?

ボルシュベルグ いきなり高度8500メートルを飛んだわけではなく、その間もステップ・バイ・ステップで高度を上げ、機体にどんな影響が出てくるかを確認しながら進めてきました。ですので、高度8500メートルも驚くほど過酷な状況ではなく、それまでの経験の延長線上だったというのが実感です。

──でも、寒さなどは相当のものだったのでは?

ボルシュベルグ たしかに。地上とは30度近く差がありましたからね。機内もマイナス20度ですが、電力は基本的に飛ぶためにしか使えない。ヒーティングに使う余裕がないので、身体の保温には気をつかいました。

飛行機と空と旅
日没後はバッテリーモードに切り替えて滑空状態で巡航飛行を続ける

──太陽が沈んでから再び昇るまで、ずっと空中を飛び続けられるかどうか。その点はやはり、コクピットにいてずっと心配だったと思いますが。

ボルシュベルグ 最初のうちは「本当にできるんだろうか?」とクエスチョンマークを心のどこかにずっと持っていました。しかし実験を重ねるにしたがって成功への確信に変わり、実際に飛ぶときには不思議なほど心やすらかでしたよ(笑)。

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