アーヴィング・ペンと三宅一生の美しき視覚的対話(1/3 ページ)
東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで「アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue」展が開催中だ。
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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。
東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで「アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue」展が開催中だ。本展は、三宅一生とアーヴィング・ペンという二大巨匠による、東京とニューヨークの離れた場所で交わされた「Visual Dialogue(視覚的対話)」の軌跡を辿るものである。
三宅さんとペンさんが出会ったきっかけは、1983年に発行された雑誌「ヴォーグ」誌上。ペンさんが撮影したISSEY MIYAKEの服を三宅さんが見たときに、「こんな見方ができるのか」と驚いたという。そして、その後1987年より1999年までの13年間、パリコレで発表した服を年2回ニューヨークに送り、ペンさんに撮影を依頼した。撮影された写真は250点以上にのぼる。
こう説明すると、普通の依頼のように思えるが、もちろんそうではない。三宅さんは、ニューヨークで行われたペンさんの撮影に一度も立ち合っていないのだ。すべてのヴィジュアルディレクションをペンさんに託したのである。撮影の指示などは一切せずに、ペンさんの解釈で写真は撮られる。それが、本展のタイトル「Visual Dialogue」たる所以である。
本展のディレクションを手掛けたのは、三宅デザイン事務所の社長である北村みどりさん。当時、ISSEY MIYAKEのアタッシェ・ド・プレスとして、ニューヨークのペンスタジオで行われたペンさんの撮影にすべて立ち合い、三宅さんとペンさんの間をつなぎ、2人のクリエーションが生まれる現場にかかわり続けてきた。
展覧会は、シンプルかつダイナミックに構成されている。会場構成は建築家の坂茂さん。
会場に入るとまずは小さな空間に誘われる。この空間では、2人が言葉を交わさずにどのように撮影を行ったか、そのプロセスがアニメーションでつづられている。THE NEWYOKERなどでイラストレーションを発表するマイケル・クロフォードさんのドローイングを、パスカル・ルランさんがアニメーションに仕上げた。
ペンさんと三宅さんの間にあるやりとりには、張りつめた緊張感が漂うが、お互いの才能を理解し尊敬し合う空気も感じられる。物理的な距離は離れていても、互いへの信頼感によって新しいクリエーションにつながったのだということがよく分かる。そして、2人のクリエーションを支えるには、北村みどりさんを始め多くの人が携わっているのだということも同時に理解できるアニメーションである。
マイケル・クロフォードによる「Irving Penn and Issey Miyake:Visual Dialogue」のためのドローイングより Copyright (c)2010 by Michael Crawford
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