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機長が荷物運びを? シートの背もたれが倒れない? LCCの“格安”のヒミツ秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/4 ページ)

2012年3月1日、日本で初めてとなる本格的LCCのピーチがデビューした。大手とは異なるビジネスモデルで驚異的な低運賃を打ち出し、航空自由化が進んだ欧米で発達してきたLCC。2000年代に入るとアジアにも波及し、その数は現在、世界で120社を超えている。LCCはどうやって“格安”を実現しているのか?

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欧州最大手はアイルランドのライアンエアー

「あの航空会社のシートは、背もたれを倒すことすらできないらしいからね。だからボクは1回も利用したことがないよ。いくら安くても、そんな不親切な航空会社には乗りたくない」

 ヨーロッパを取材中、知り合いのドイツ人記者がそう教えてくれた。シートのリクライニングができない航空会社がある? まさかとは思いながら、どこの航空会社か聞いてみると、彼の口から出た社名が欧州最大手のLCC、アイルランドのライアンエアーだった。

 むしろ私は興味を持ち、乗ってみることに。利用したのはドイツ・フランクフルトからイギリス・ロンドンまでのフライトだった。

飛行機と空と旅
ライアンエアーでフランクフルトからロンドンへ

背もたれを倒すレバーが見当たらない

 フランクフルトでライアンエアーが発着するのは、中心部に近いメインのアムマイン空港ではなく郊外のハーン空港だ。LCC専用のターミナルはとても質素なつくりで、空港スタッフもほとんど見かけない。ランプエリアに停まっているのは、ライアンエアー機のほかは3、4機だけ。事前にオンラインチェックインを済ませてきたので、直接搭乗ゲートに足を進めた。

 何人かの乗客のあとについて、駐機しているボーイング737-800の機内に乗り込む。追加料金を払って「優先搭乗」の権利を買った乗客以外は、どのシートに座るかは早い者勝ちだ。座席指定はない。キャビンに入ると、通路をはさんで3席ずつが並ぶ黄色を基調としたカラフルなシートが目に飛び込んできた。エコノミークラスだけのモノクラス設定で、全部で189席が設置されていた。

 さて、本当にリクライニングできないのか? さっそく試してみた。たしかに。ドイツ人記者の言っていたとおりである。シートのどこを探しても、背もたれを倒すためのレバーもボタンも見当たらない。周囲を見わたしてみると、リクライニングしようなんて考えているのはどうやら私だけのようだった。

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LCC専用ターミナルがあるフランクフルト郊外のハーン空港

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