ブームが終わり、若者の時計離れが進む中でG-SHOCKはどうなった?――田中秀和さん:G-SHOCK 30TH INTERVIEW(2/2 ページ)
1990年代後半の一大ブームが去ったあと、20世紀の終わりと共にG-SHOCKに大きな転機が訪れる。21世紀のG-SHOCKをどうすれば? 出した答えは「ものづくりの原点回帰」だった。
「若者の時計離れ」にどう対応する?
――それにしても、G-SHOCKブームの頃は、毎月何個も同時進行で、いろんなモデルを作っていたんですよね?(参照記事) さまざまなモデルの企画を考えるのと、「ものづくりの原点へ」というのは、ずいぶん違うように思うのですが。
田中 そうですね。ブームのころは、コラボモデルとかテーマモデルとか、話題先行だったんじゃないか。G(-SHOCK)の本来のモノの魅力が薄れてきているんじゃないか……というように、1998年とか1999年あたりからマインドが変わってきた、というのは確かにありましたね。
――今回お話しいただいている、G-SHOCKブームの直後というのは、2000年代前半の話ですよね。ちょうど、携帯電話がものすごく普及した時期、「若者の時計離れ」なんていうことが言われ始めた時期に重なると思うのですが、G-SHOCKも影響を受けたのですか?
田中 はい。それまでは、若い人はみんな腕時計をしてましたからね。社内では「Back to the Basic」「ものづくりの原点にかえろう」という考え方が徹底されるとともに、それだけじゃだめだ、という声もやっぱりありました。
時計って、持つ喜びとか、自分を表現するコミュニケーションという面がありますよね。でも、時計を着けたことがない人にそれを訴求しても仕方ない。時計を着ける習慣がない人に「時計を着けてみたい」と思ってもらうには、どうしたらいいのか? ということで始めたのが「BACK TO THE 90'S」キャンペーン。文字通り、90年代をテーマにした企画です。
(ストリートファッションの)セレクトショップでキャンペーンを行ったり、当時日本上陸15周年だったHMVと一緒にフリーマガジンを制作して店頭に置いたり、クラブイベントツアーを行ったり……ということをしました。ツアーファイナルは、渋谷AXやclubasiaで行いまして。スチャダラパーとか、野宮真貴とか、m-floとかが出てくれて……。
――うわぁ、豪華メンバーですね!
田中 でしょう(笑)。確かあのとき、clubasiaの動員記録を作ったはずです。訴求する場として、時計売り場だけではダメだと。若者の導線に、G-SHOCKとの出会いの場を作ろうという目的のキャンペーンでした。
BACK TO THE 90'Sは、2005年、2006年、2007年、2008年と毎年行った国内キャンペーンだったんですね。これが、SHOCK THE WORLDの原点になっているんです。
――なるほど。ストリートファッションとか、クラブミュージックやヒップホップという、今のSHOCK THE WORLDの原点はそこにあったんですね。去年ニューヨークでスタートした30周年記念のSHOCK THE WORLD、今年もまだまだ続くということで楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。
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