G-SHOCKは今や、ハイエンドも、売れ筋もアナログが主力――斉藤慎司さん:G-SHOCK 30TH INTERVIEW(4/4 ページ)
G-SHOCKブームから15年。実はここ4〜5年、海外市場でG-SHOCKの販売数が急増しており、2013年は過去最高の出荷本数となる見込みだ。好調を支えるアナログモデルについて、SKY COCKPIT最新作「GW-A1100」を中心に話を聞いた。
――GA-100、GA-110というと……(写真を見る)。あ、大きな針が目立つデザインで、アナログとデジタルのコンビネーションモデルなんですね。そういえば米国のショップで、これのいろいろな色のモデルがたくさん置いてあるのを見ました。派手なカラーが多いですよね。
斉藤 そうですそうです。大きなフェイスで、紫とか金色とか、派手な色が多かったでしょう。
――主に米国で売れているんですか?
斉藤 米国だけじゃなくて、世界中で売れていますよ。爆発的に売れてると言っていいと思います。GA-100、GA-110両方ともよく売れていて、デザインやカラーリングが違う派生モデルがたくさんあります。今ではすっかり、G-SHOCKの主力商品ですね。
――どういう企画意図だったか、教えていただけますか?
まずGA-100。ベーシックなモデルなので企画意図というのも違うかもしれませんが、「G-SHOCKの針モノを広げていこう」というのがまずありました。当時、6900はすでに海外でかなり人気があったんですが、デジタルよりアナログのほうが(市場の)パイが大きいだろうなというのに加えて、「G-SHOCKを世界の人たちに伝えやすくて、買いやすいモデルを」と考えました。
それともう一つ、自分が初めてG-SHOCKをつけたときに「えっ、G-SHOCKってデカイ。こんなにデカイのつけるの?」って思ったんですよ。そのインパクトを、若い人たちにもう一度伝えなくちゃと思ったんです。なので「大きめの時計にしていこう」という意図はすんなり共有できましたね。あとその当時、「他の時計はどんどん大きくなっているのに、G-SHOCKはむしろ(相対的に)小さくなってない?」と思っていたんですよね。例えばNIXONとか。そこで、6900系に似た有機的なデザインにしよう、フェイスは6900よりも大きくして、ワイドオープンで押し出しを強くしよう……という感じで決まっていきました。
そしてGA-100を作っていたころ、「フェイスをもっと複雑にして、インパクトを強めたらどうだろう?」とデザイナーから提案があってできたモデルがGA-110なんです。ケースはGA-100と共通です。すぐに「よし、やろう」ということになって、両方ほぼ同時期にできあがりました。ポップな色を組み合わせるなど、色のインパクトはGA-100よりもさらに「遊んで」います。
G-SHOCKの“作り方”
――シンプルで小さめな5600系、三つ目で大きくカラフルなデジタルの6900系、ハイエンドなアナログのSKY COCKPIT、シンプルなものもカラフルで面白いデザインのものもあるGA-100/GA-110と、今日お話に出てきただけでもいろんなG-SHOCKがある。それぞれ全然違うのに、それでもみんなG-SHOCK、というのが面白いなと思います。
斉藤 ほかの時計(ブランド)は「技の継承」が重視されますよね。伝統として。でも、G-SHOCKは「コンセプトの継承」とか「コンセプトの作り方の継承」というところで続いていくんだな……と思うことがあります。
いろんな人が作る、いろんなG-SHOCKがあっていい。新しい技術があればどんどん使っていくし、デザインもいろいろある。G-SHOCKは常に変わっていくけど、作り方とか、考え方の部分は継承されていく。最近、G-SHOCKの“作り方”というか、“伝え方”というのはそれなんだな、と考えるようになりました。
――ありがとうございました。
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