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» 2016年10月29日 09時00分 UPDATE

大ヒット小説「戯言シリーズ」が、あえて「OVA」でアニメ化されるワケ (1/3)

西尾維新の大ヒット小説「戯言シリーズ」が、待望のアニメ化を果たす。テレビアニメではなく、あえてOVAでアニメ化されるのはなぜなのか? 「西尾維新アニメプロジェクト」を生み出し、現在はアニプレックス社長に就任している岩上敦宏さんに聞いた。

[青柳美帆子,ITmedia]

 西尾維新のデビュー作である大ヒット小説「戯言(ざれごと)シリーズ」が、ファン待望のアニメ化を果たす。第1作目「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」をOVA(オリジナルビデオアニメーション)全8巻でアニメ化する。1巻は10月26日に発売したばかりだ。

 西尾維新さんはアニメ化・映画化の人気シリーズ「〈物語〉シリーズ」や、ドラマ化もされた「掟上今日子の備忘録」など、ヒット作を立て続けに刊行している作家。そのデビュー作が“戯言遣い”の少年・“ぼく”と、天才少女・玖渚友(くなぎさとも)をめぐるシリーズの1作目「クビキリサイクル」で、ファンにとって非常に重要な作品だ。

 その人気の高さに反して、メディアミックスがほとんど行われていない戯言シリーズ。ファン待望の映像化は、なぜ今行われ、そしてなぜOVAで展開するのか? そのこだわりとは? 「魔法少女まどか☆マギカ」や「〈物語〉シリーズ」のプロデューサーを担当し、現在はアニプレックス社長に就任している岩上敦宏さんに聞いた。

10月26日に発売したばかりのOVA「クビキリサイクル」第1巻。あえてOVAでアニメ化する理由とは?

西尾維新アニメプロジェクトは、「クビキリサイクル」から始まった

 岩上さんは「クビキリサイクル」の企画段階から関わっている。作品との出会いは、2002年にさかのぼる。当時30歳前半の岩上さんは、アニメプロデューサーとしてのキャリアをスタートしていた。毎日「どんな原作をアニメにするべきか」と考えているうちに、書店で戯言シリーズに出会ったのだという。

 「竹さん(挿絵を担当するイラストレーター)が描いたイラストが非常に目立っていて、読んでみたら本当に面白かった。ミステリー要素とキャラの魅力が両立しているのが新しかった。アニメにしたい――そう思ったが、同時に『やりたいけれど形にできない』とも思った。いい原作があっても、いいスタッフや制作ラインがないと、いいアニメにはならない」

 戯言シリーズは西尾作品の中でも“ご本尊”のように扱われていたと岩上さんは語る。「中途半端な形でアニメにしたくなかった。どうすればいいかを考えていくうちに、戯言シリーズだけではなく『西尾作品全体をどう展開していくか』と主題が変わっていった」。

 そして生まれたのが「西尾維新アニメプロジェクト」。その第1弾として「化物語」制作が決定した。岩上さんは同作にプロデューサーとして、作品の中身、企画、商品仕様、宣伝に関わり、少しでも面白い作品を作り、少しでも多くの人に届けることを目指したのだという。

 06年に小説が刊行された同作は、09年にアニメ化。映像ソフトが1万枚売れれば成功と言われるアニメビジネスの世界で、1巻は12万枚を超える爆発的ヒットを記録した。

 「『化物語』は、原作、スタッフ、スタジオの3者でいいイメージができた。同作は当時、『戯言シリーズ』に続く新シリーズのひとつで、西尾維新アニメプロジェクトのいわば“先鋒”というイメージだったが、それがアニメ史に残る大ヒットになった」

「西尾維新アニメプロジェクト」第1弾として生まれたアニメ「化物語」は、アニメ史に残る大ヒットに

 アニメ制作会社はシャフト。「月詠 -MOON PHASE-」(05年)や「さよなら絶望先生」(07年)、岩上さんが手がけた「ひだまりスケッチ」(07)などのタイトルがアニメファンの話題を呼び、“特色ある制作会社”といった評価を確立しつつあった。

 「化物語」の予想以上の大ヒットを受け、以降は「〈物語〉シリーズ」として「偽物語」から始まり、最新シリーズの「暦物語」までの計11作品がアニメ化。シリーズ映像ソフトの出荷累計が200万枚を超えるシリーズになった。「傷物語」は劇場アニメには珍しい“3部作”で劇場アニメ化し、17年1月には完結編となる「〈冷血篇〉」の上映が予定されている。

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