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» 2016年11月22日 08時00分 UPDATE

6割は「買いたくない」:“若者のクルマ離れ”? 自動車技術を知ってもらうには

車に乗らない生活が珍しくなくなっているが、あらためて自動車技術を身近な生活と結び付けようとする取り組みが広がっている。

[加納由希絵,ITmedia]

 「車離れ」という言葉が定着し、自動車メーカーが対策に力を入れ始めて久しい。「魅力ある商品」を合言葉に、各社とも趣向を凝らした商品投入を続けているが、全体的には手をこまねいているのが現状だ。公共交通機関の利便性向上に加え、購入、所有コストを負担してまで車を手に入れようと思わない傾向が目立つようになった。車が必需品といえなくなっている今、あらためて自動車の技術を身近な生活と結び付けようとする取り組みが広がっている。

自動車技術を身近に

 自動運転技術や次世代環境対応車、新型スポーツカーなど、自動車の技術的進歩は著しく、話題に事欠かない。一方、国内新車市場は伸び悩みを続けている。

 日本自動車工業会が実施した「2015年度乗用車市場動向調査」によると、車を持っていない20代以下の若年層は、3割が車にまったく関心がない。さらに、車を「買いたくない」「あまり買いたくない」と回答した割合は6割に上る。「お金がかかる」「買わなくても生活できる」というイメージが強いようだ。

photo 日産自動車は「プロパイロットチェア」の動画が話題に

 車に乗らない生活が一般的になりつつある中、日産自動車は日常生活に近いところから自動車技術を知ってもらう取り組みを実施している。新型車に搭載した最新技術を「椅子」に応用して制作した動画を次々とインターネット上で公開した。

 自動で所定位置に収納する「インテリジェントパーキングチェア」の動画を2月に、飲食店などの行列を自動で進む「プロパイロットチェア」の動画を9月に公開。話題となっている。

 プロパイロットチェアは、新型「セレナ」に搭載した自動運転技術を分かりやすく紹介するために試作した。車間距離を一定に保つ技術から着想を得ている。公開後、SNSでは「画期的」「使ってみたい」「障害者や高齢者に便利では」と、さまざまな反応があった。とっつきにくい専門技術への関心を喚起するきっかけとなっている。

 同社は「自動車に関心のないお客さまにも、私たちの技術を幅広く伝えられてうれしく思う」(担当者)と、手応えをつかんでいる。さらに、前回のインテリジェントパーキングチェアの公開時と比べて、「バックグラウンドとなっている技術への注目度が高い」(同)と感じているという。

 今後、無償で飲食店などに貸し出し、実際に体験してもらう機会も設ける。一過性の話題ではなく、より生活に溶け込んだ形で関心を持続させる効果も期待できそうだ。貸し出しの応募は数十件集まっており、飲食店のほか、美容院や公共機関からの申し込みもあるという。2017年2〜3月ごろに貸し出しを開始する予定だ。

 直接的に商品や技術をPRする取り組みではないが、自動車メーカーとしての日産を印象付ける重要な一手となっている。

「緊急時に役立つ」をキーワードに

 三菱自動車は、これまでと異なる切り口で、生活に役立つ機能を前面に打ち出し始めた。10月、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)をPRする店舗「電動DRIVE STATION」の展開を開始。店内のデジタルサイネージや展示の構成を見ると、走行性能や運転の楽しさといった訴求要素は薄い。

photo 三菱自動車の新しい店舗の目玉展示「ライフスタイルコーナー」

 目玉展示は一般家庭のリビングを模したコーナー。冷蔵庫や電子レンジなども設置している。そこでは、停電時にPHVの給電機能を活用して電化製品を使用するデモンストレーションを実施している。

 「アウトランダーPHEV」の給電機能をキャンプで活用する提案をするなど、同社の商品にはアウトドア向けのイメージも強い。しかし、新しい店にはレジャーを感じさせる要素はない。災害対策やエネルギー問題など、多くの人の生活に深く関わる観点を前面に出している。国内営業本部国内企画部上級エキスパートの小野勉氏は「社会に役立つ機能に関心を持つ人がターゲット」と話す。

 前述の自工会の調査では、EV、PHVの購入を検討したいと答えた人のうち、その理由として「緊急時の備えとなる蓄電池機能がある」の選択肢を選んだ割合はそれぞれ1割。機能性をPRする余地はまだまだありそうだ。

 新車市場が伸び悩む一方で、カーシェアリングの市場は拡大している。商品そのものの魅力や機能だけでなく、身近な生活との関わりを訴求する取り組みが今後も広がりそうだ。

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