サイバーエージェント、営業益51%減 AbemaTV投資でゲーム事業も苦戦

» 2017年01月26日 18時37分 公開
[ITmedia]

 サイバーエージェントが1月26日発表した2017年9月期第1四半期(16年10〜12月)の連結決算は、売上高が865億円と前年同期から16.9%増だったものの、営業利益は51.1%減の63億円にとどまった。広告事業が好調で売上高は過去最高だったが、インターネットテレビサービス「AbemaTV」への投資がかさみ、大幅な減益となった。

藤田晋社長のトップダウンで、AbemaTVへ全力投資するサイバーエージェント
売上高が865億円と過去最高だったが、営業利益は51.1%減の大幅な減益

“スマホシフト”先駆者として成功続くインターネット広告事業

 インターネット広告事業は、売上高487億円(19.8%増)、営業利益47.2億円(31.9%増)と過去最高を更新。高い増収率と利益水準を継続している。「売り上げの約8割がスマートフォン広告。業界全体のスマホシフトは進んでおり、“スマホに強い”が当社の強みになっている」と藤田晋社長が語るように、スマホ広告市場のシェア29.2%を獲得し、拡大を続けている。今後はインフィード広告と動画広告も強化していくという。

16年度の貢献一転、やや苦戦したゲーム事業

 Cygamesなどが属するゲーム事業は、売上高346億円(16.5%増)、営業利益64.5億円(26.9%減)と増収減益。「アイドルマスターシンデレラガールズ」「グランブルーファンタジー」「Shadowverse」などの既存タイトルは堅調だったが、新規タイトルの不調と広告宣伝費の増加が響いた。

既存タイトルは堅調だが、新規タイトルが伸び悩み苦戦

 「年末年始に広告宣伝費を積極的に投下しているが、前ほど伸びなくなってきた。伸びている『Shadowverse』の広告については、売り上げよりもユーザー増加を狙っている」(藤田社長)

 第2四半期以降に新規タイトル6本を提供予定。中でも「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」は、AbemaTVでアニメを先行配信し、ヒットに期待を寄せる。

AbemaTV全力投資のメディア事業

 AbemaTVなどが属するメディア事業は、売上高59億円(1.9%増)に対し、45.8億円の営業赤字を計上した(前年同期は6.8億円の黒字)。AbemaTVには今期、200億円を投資する計画で、第1四半期は50億円を投じた。

 AbemaTVは16年12月に1300万ダウンロードを突破。MAU(月間利用者数)は12月時点で686万人だった。年末年始に大型の番組編成を行い、ユーザー数や復帰率が高まった。若年層向けのコンテンツを強化しており、「25〜34歳、18〜24歳のユーザー層が増加している。テレビを見る習慣のない属性の人々を取り込んでいる」(藤田社長)と分析している。

全力投資を行うAbemaTVは成長中

 今後は、将棋、サッカーなどのチャンネルを増やし、編成を強化。また、3月末に縦型再生の対応、3月末〜4月にオンデマンド機能「Abemaビデオ」を開始する。Abemaビデオでは、AbemaTVの見逃し配信や映画などを視聴できる。一部無料だが、月960円の有料サービスに加入すると見放題になる。今はまだ投資期だが、いずれは有料会員モデルと広告モデルで収益化していく考えだ。

「Abemaビデオ」を開始。有料会員モデルでいずれは収益化

 メディア事業には、男女のカップリングサービス「タップル誕生」「CROSS ME」「Qunme」「mimi」「トルテ」なども含まれる。特にタップル誕生は非常に好調で、月に2〜3億円を安定して売り上げている。

 また、キュレーションメディア問題で「Spotlight」「by.S」にも注目が集まっている。16年夏から記事投稿の方式を、チェックを通過するものだけを公開できるようにしており、「既に対応は完了している。DeNAの問題を受けて、さらに徹底した」(藤田社長)という。もともと大きな売り上げのある部門ではないため、業績への影響は軽微としている。

 今期の業績見通しは、売上高、営業利益は計画通りだが、純利益が予定よりも伸び悩んでいる。株価の低迷も予想できるため、中長期の株主に向けて「自社株買いや増配などを行い、DOE(株主資本配当率)5%以上を目安とする」指標を発表した。

今期の業績見通し

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