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» 2017年04月12日 06時00分 UPDATE

各社、実用化に向けて実験加速:自動運転よりも“無人運転”が注目される理由 (1/3)

「無人運転車」と「自動運転車」は、それぞれ目指すゴールが違う。自動運転は個人が買って乗ることを前提としているが、無人運転には社会インフラを支える大きな役割が期待されている。

[森口将之,ITmedia]

 自動運転はいつ、どんな形で走りはじめるのか――。このテーマに対する構想を政府は2014年から毎年、「官民ITS構想・ロードマップ」を通じて発表してきた。毎年発表する理由は、自動運転を取り巻く状況が日々変わることに対応したものだという。確かに、2016年5月に発表された「官民ITS構想・ロードマップ2016」では、根幹的な部分の記述が大きく変わっていた。

 それまで日本は、自動運転の程度を示す指標である、NHTSA(米国運輸省高速道路交通安全局)のレベル分けでは、「レベル1」を安全運転支援システム、「レベル2〜3」を準自動走行システム、「レベル4」を完全自動走行システム、と呼び分けをしていた。

 ところが2016年版では「準自動パイロット」「自動パイロット」「無人自動走行移動サービス」という新しい言葉が登場している。

photo 仏国Navya(ナビヤ)社の無人運転バス「ARMA」

 準自動パイロットはレベル2、自動パイロットはレベル3、無人自動走行移動サービスはレベル4相当と、既存のレベル分けに当てはめてはいるものの、ロードマップのサブタイトルには「2020 年までの高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行移動サービスの実現に向けて」としてあり、無人自動走行移動サービスと自動走行は違うジャンルであることも明記している。

 実はこの「無人自動走行移動サービス」(無人運転)という名称で、いくつかの企業が実用化に向けて既に実証実験を始めている。

 もっとも有名なのは、2016年からディー・エヌ・エー(DeNA)が千葉県、秋田県、福岡県などで行っている実証実験。車両は仏国のベンチャー企業、EasyMile(イージーマイル)社製「EZ10」を使用している。DeNAではこの車両を「無人運転バス」と称している。

 さらに2017年1月には米国ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES」で、自動車メーカーも無人運転への参入を表明した。日産自動車がDeNAとともに、無人運転車の商用活用を狙った実証実験を2017年に日本で開始すると発表したのだ。日産ではまず、国内の国家戦略特区で無人運転技術の開発に集中的に取り組み、2020年までに首都圏と地方都市で実証実験を行う計画だという。

 続いて2月、ルノー・日産アライアンスが世界各地で公共交通の運営を行う仏国のTransdev(トランスデブ)社との間で、無人運転車を活用した公共交通およびオンデマンド型交通向けのモビリティサービスを共同開発すると発表した。まずはルノーの電気自動車「ZOE」を使ったパリでの実証実験、Transdevのオンデマンド配車や運行管理・経路選択のためのプラットフォームなどの検証を行うという。

photo 「官民ITS構想・ロードマップ2016」(出典:内閣官房)

 日本のIT企業では、ソフトバンクも積極的な動きを見せている。同社は新しいモビリティサービスを提供すべく、自動運転技術を研究・開発する先進モビリティと合弁で新会社SBドライブを2016年に設立した。

 同社では早速、いくつかの市町村と連携協定を締結しており、2017年3月には沖縄県で実証実験を始めた。市販の小型バスを改造した専用車両を使用して、自動運転の性能評価やデータ収集・システム検証を実施している。同月にソフトバンクがSBドライブに追加出資するとともに、ヤフーも出資を行うことで、サービスの連携やビッグデータの活用を検討していくと発表している。

 また、EasyMileと同じ仏国のベンチャー企業Navya(ナビヤ)社は、同社の無人運転バス「ARMA」をSBドライブが導入し、日本で実証実験を始めることを明らかにした。SBドライブでは無人運転という言葉は使わないが、一連の活動を見る限り、無人運転の一種と見て良いだろう。

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