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» 2017年04月12日 18時35分 UPDATE

顧客と信頼関係を築く方法とは:営業担当者の「現場力」が優れた会社は成長できる (2/2)

[ITmedia]
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これからの企業には「現場力」が求められる

 セミナー終盤では、「企業を伸ばす営業の現場力」と題した特別講演を、ローランド・ベルガ―会長の遠藤功氏が行った。

photo 講演する遠藤氏

 遠藤氏は、「現代の日本のビジネス界は供給過多になっており、企業の顧客獲得競争が激化している」と説明する。そして、そのような状況下で業績を伸ばしていくためには、企業は「自律分散型組織」へと変わる必要があるという。

 自律分散型組織とは、営業担当者などの現場側のメンバーが裁量権を持つことで、臨機応変な働き方を可能にする業務形態を指す。商談などの外出先で問題が生じた際でも、管理職に指示を仰ぐのではなく、当事者が自分の知見を基に対応策を考えてスピード感のある判断を下すことで、顧客との信頼関係の向上などにつなげる狙いだ。

 「従来の日本企業は、商品のコンセプトや値段などの詳細は、全て管理職が決めていました。しかし実際、担当するエリアに住んでいる人の特性や、売れている商品、競合の戦略など、リアルな情報を知っているのは、現場で働く営業担当者です。営業チームが戦う集団に変わるためには、各自がアポイント先で生じた疑問点などを持ち帰るのではなく、指示や命令がない状況で、自分で考えて対処することが肝要です」(遠藤氏)

photo 遠藤氏が考える、企業において大切なこと

 現場が非凡な対応力を持つ具体例として、遠藤氏は、JR東日本秋田支社が管轄するローカル線の「五能線」(秋田県能代市〜青森県南津軽郡)を挙げた。五能線は、厳しい自然環境、過疎化、モータリゼーションなどの影響を受け、30年前には路線存続の危機がうわさされるほどの状況に追い込まれていたが、現場力によって経営を立て直した。

 再生のために彼らがまず取り組んだのは、地元の人々のための「生活路線」から、観光客のための「観光路線」へと方針転換することだった。制約や条件が多い中、運転手・車掌・駅員をはじめとする現場スタッフは、自分たちができることから取り組み、アイデアを出しては実行し続けた。

 例えば、古い客車を大きな窓とゆったりとした座席の観光列車へと改造したり、日本海に沈む夕日が見える“絶景ポイント”で写真を撮りやすいよう徐行運転したり、車内で三味線ライブを開催したりと、他の路線にはないユニークなサービスを生み出していった。

 一方で、支社の幹部が定期的に現場を訪問して現場の声に耳を傾ける「ビジット」と呼ぶ施策も行い、ボトムアップの体制作りも確立していった。現在、支社幹部は年間1700件もの提言や要望を現場からヒアリングし、経営に生かしているという。

 現場からの声を踏まえて改善を繰り返し、地道に努力を積み重ねた結果、五能線は今では「日本で一番乗りたいローカル線」と称され、全国から観光客や鉄道ファンが集まるほどに成長している。

photo 遠藤氏が考える、強い経営のあり方

 遠藤氏は、「ビジネスの世界では、現場に真実が宿っている。お金がなくても、すごい経営者がいなくても、現場の人間が潜在的な顧客需要を掘り起こすことができる企業が、これからのビジネス界で生き残っていくだろう」と話し、講演を締めくくった。

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