本コラムで以前から繰り返し指摘しているが、「年功序列」「終身雇用」に象徴されるように日本企業ほど戦時体制を忠実に引き継いでいる組織はない。だから、「経済戦争」で勝利するためには個々の犠牲もいたしかたないという思考が根底にあり、旧日本軍のような陰湿なシゴキやパワハラが横行しているのだ。
そう考えてみると、先の見えない消耗戦を強いられる日本の「企業戦士」の中に、「突撃煙草」にすがる者が一定数存在するのもしょうがない気がする。
今国会での受動喫煙防止対策を含む法案の成立は絶望的となっている。自民党「たばこ族」の一員で竹下亘国対委員長は、塩崎恭久厚労相を「分かろうとしない閣僚」と批判したうえで、こう続けた。
「妥協が成立しない。自分の言うことだけ通れば、政治はいらない」
もうここには「国民の命」や「社会的損失」という視点がどっかへすっ飛んでしまっている。国際世論から包囲網をつくられているのに、自分たちだけは特別な存在だと言わんばかりに聞く耳をもたない。こうなれば、多くの国民を巻き添えにした玉砕的な戦いに突入していくのも時間の問題だ。
「突撃煙草」の精神は平成日本にも脈々と受け継がれている。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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