大人に「ぶたれた」経験のある子どもの数、過去最低に減る体罰、変わる教育

» 2017年06月12日 13時18分 公開
[ITmedia]

 教育の一環として、両親に「ぶたれた(殴られた)」経験のある子どもの数が過去最低を記録した――博報堂生活総合研究所による「こども20年変化調査」でこうした結果が出た。

 父親から体罰を受けた経験がある子どもの数は、1997年の調査時から31.4ポイント少ない38.4%、母親からは30.9ポイント減の48.6%。体罰を控える教育方針が浸透していることがうかがえる。

photo 体罰を受けた経験のある子どもの時系列変化

 また、「親からお小遣いをもらっている」と答えた子どもは15.9ポイント減の63.0%。子どもの金銭感覚を養うための教育も変わっているようだ。

 では、こうした教育方針の変化により、現代の子どもの価値観はどう変わっているのだろうか。「自分の部屋に両親が入ってくるのは嫌だ」と考える子どもは、20年前から9.4ポイント少ない36.6%、「家族に言えない秘密がある」と答えた子どもは16.0ポイント減の34.3%。親密度が向上し、親子関係がよりオープンになっていることが分かった。

photo 親子関係の変化

 また、「新商品が出ると、すぐに欲しくなる」子どもは14.8ポイント減の41.6%。「遊びよりも勉強の方が自分にとって大切」と考える子どもは21.6ポイント増の58.1%。現代の子どもは、自分を律する能力を持ち、学習意欲が向上しているのかもしれない。

 一方、スマートフォンやタブレットなどの端末や、「ニンテンドー3DS」などのゲーム機を活用したインターネットを楽しむ子どもは増えており、「インターネットを利用していない」と答えた子どもは6.1%にとどまる結果となっていた。

photo 現代の子どもの情報収集の手段

 調査結果に対し、博報堂生活総合研究所は「この20年間、日本では教育の脱ゆとり転換、デジタル環境の向上、東日本大震災の発生などさまざまな事象が生じた」とした上で、「子どもたちは自分の置かれた環境を肯定的に捉え、大人や友人との良好な関係のなかで真面目に生きている。新商品や情報の流行への関心は低下しているが、興味があることの情報取得には前向きだ」と分析している。

 調査は、2月15日〜3月21日にかけて、首都圏に住む800人の子どもを対象に、留置法によって実施した。

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