「おじさん禁止」を貫く 「午後ティー×ポッキー」コラボ開発の裏側“バレンタイン明け”の恒例に(1/2 ページ)

» 2018年02月14日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 バレンタインデーの盛り上がりも落ち着いた後の2月20日、キリン「午後の紅茶」とグリコ「ポッキー」のコラボレーション商品が発売される。「午後の紅茶 アサイーヨーグルティー」と「ポッキー<バナナブラン>」の2商品で、合わせて食べるとアサイーボウルのような味わいを楽しめる。キリンビバレッジと江崎グリコは、両ブランドのコラボ商品を毎年2月に発売しており、今回が第4弾。

 このコラボプロジェクトのチームは、商品企画から中身の開発、量販店への販促提案に至るまで、ターゲット層と重なる20〜30代女性社員のみで構成。「おじさん禁止」でプロジェクトを進めているという。大企業同士の協業において、女性主導のプロジェクトをどのように実現しているのだろうか。担当者に聞いた。

photo 2月20日に発売する「午後の紅茶 アサイーヨーグルティー」と「ポッキー<バナナブラン>」

パッケージをつなげて1枚の絵に

 今回の商品は、ハワイをイメージしたパッケージ。両商品を並べると1枚の絵になり、2人の人物がハワイを楽しむ様子が描かれている。午後の紅茶は4種類、ポッキーは3種類のパッケージがあり、女性と男性、女性同士、男性同士など、さまざまな組み合わせが楽しめる。

 午後の紅茶アサイーヨーグルティーは、ヨーグルト風味の紅茶に、アサイーエキスなどを加えた飲料。ピンク色の見た目は甘そうな印象だが、甘みも酸味もそれほど強くなく、すっきりとした味だった。素朴な味の小麦ブランにバナナ風味のチョコレートを合わせたポッキーと相性がいい。

 両社のコラボ商品の展開は、2015年に始まった。チョコレートの売り上げが落ちる2月後半は、清涼飲料も苦戦する時期。市場を盛り上げたいという思惑が一致した。キリンビバレッジマーケティング部の川名翔子さんは「『午後ティー味のポッキー』や『ポッキー味の午後ティー』といった、単純なコラボではなく、新しいものを生み出すことをルールにしている」と話す。アップルティー(午後の紅茶)と、カスタード味のポッキーという組み合わせを仕掛けた第1弾は、目標を上回る売り上げに。翌年の第2弾は、それをさらに大きく上回り、毎年恒例の商品になった。

photophotophoto 過去のコラボ商品。左から、2015年、16年、17年。女性を中心に、SNSで話題になった

 このコラボ商品のターゲットは20〜30代の女性。そのため、両社によるプロジェクトチームにはその世代の女性のみが集まり、「ワクワクできる商品を“自分ごと”として考えている」という。商品企画や中身開発だけにとどまらず、営業の担当部署でも女性によるプロジェクトチームを結成。スーパーなどの量販店に対して、女性が手に取りやすい商品の並べ方などを提案している。

 「飲料と菓子の売り場は違うところにありますが、それぞれの売り場に侵食して、『面白そう』と思ってもらえれば、“ついで買い”してもらえる」(川名さん)。また、隣に並べられない状況であっても、コラボ相手の存在をにおわせるように、人物が横を向いたデザインを採用しているという。

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