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» 2018年02月19日 15時33分 公開

実体経済超えるマネー膨張:広がらなかった金融不安、銀行外マネー膨張には警戒 (1/2)

「宴の終わり」には楽観と悲観が交互に訪れることを思い返しておくべきかもしれない。

[ロイター]
photo 2月19日、リーマン・ショックを超える下落幅となった米株安だが、当時のような金融システム不安は広がらなかった。銀行の財務体質が強化され、金利上昇も景気堅調のなかでは利ザヤ改善を通じてプラスに働くためだ。ただ、緩和マネーは銀行を経由しないルートで膨張しており、一部にはバブル的な状況もみられる。写真はニューヨーク証券取引所で16日撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

[東京 19日 ロイター] - リーマン・ショックを超える下落幅となった米株安だが、当時のような金融システム不安は広がらなかった。銀行の財務体質が強化され、金利上昇も景気堅調のなかでは利ザヤ改善を通じてプラスに働くためだ。ただ、緩和マネーは銀行を経由しないルートで膨張しており、一部にはバブル的な状況もみられる。信用収縮の連鎖への警戒感も捨て切れない。

<銀行のCDSや株価に落ち着き>

銀行の信用度を表す劣後CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は落ち着いた動きだ。日本のメガバンクでは、株安が進んだ2月に入っても低水準で推移。2008年ごろの金融危機当時と比べて4分の1、11年ごろにつけたピークに対しては5分の1程度のレベルとなっている(表参照)。

今回、世界同時株安の震源地となった米国では、2月に入って大手行の劣後CDSが若干上昇している。

ただ、これも水準としては金融危機当時の5─10分の1程度の低さで、金融不安が広がっている状況とは程遠いレベルだ。

銀行株も目立った動きはみせていない。16日までの東証銀行株指数<.IBNKS.T>の年初来下落率は5.0%。TOPIX<.TOPX>の4.4%とほぼ同じだ(表参照)。米国では、S&P金融<.SPSY>の年初来上昇率は3.5%とS&P500<.SPX>の2.1%を上回る。

2007─09年の金融危機の際、銀行株は大きく売られた。東証銀行株指数は、06年4月高値から09年3月安値まで約75%下落した。その間の日経平均は約60%の下落。サブプライム問題を起点とした金融不安が広がり、銀行株が大きく売られた。

「株価やCDSに先見性があるわけではないが、少なくとも現時点では、市場に金融不安が広がっていないことを示している」とマネックス証券チーフ・アナリストの大槻奈那氏は話す。

<改善した銀行の財務体質>

市場が銀行に不安の目を向けていないのは、銀行が金融危機を経て、財務的な体力をつけているためだ。

日本の預金取扱金融機関の自己資本比率は、増加傾向にある。金融庁のデータによると、国際統一基準行の自己資本比率は08年度の12%強から16%程度に上昇している。

米大手銀行の資本比率もリーマン・ショック後の4%程度から、現在では12%程度に改善。金融危機後のレバレッジ規制もあり、無謀な投資も手控えられている。

不良債権も世界的に減少傾向にある。銀行の不良債権比率は、フランスはやや水準が高いが、米国や英国、ドイツなどはほぼ金融危機以前のレベルに戻っている。

今回の株価下落の1つのきっかけは金利上昇だが、銀行にとっては景気改善に伴う「良い」金利上昇であれば、中期的には利ザヤの拡大につながり、収益を押し上げる。保有債券の評価損益は短期的に悪化するが、中期的にはそれを上回るプラス面がある。

米大手銀行の17年決算は税制改革による繰延税金関連の一時的費用を除けば、景気拡大・金利上昇による利ザヤの改善で本業収益は順調だった。日本の大手銀行も低金利の影響で国内貸出は依然厳しいが、海外貸出で稼いでおり、総じてみれば収益は良好だ。

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