4月8日、『ワイドナショー』(フジテレビ)を見ていたら、ダウンタウンの松本人志さんが、大相撲春巡業中に土俵内で救命措置を行っている女性に対して、「女性の方は土俵から降りてください」とアナウンスした行司について、こんなことを言っていた。
「彼もかわいそうやなと思う。日本国中に叩かれちゃってて。ちょっと真面目すぎたんですよ。真面目がゆえに、こうなっちゃってるんですよ」
ネットではいろいろな意見があるようだが、この言葉は今回の問題だけにとどまらず、相撲協会の一連のゴタゴタにもあてはまる「本質」を突いている。あの組織は真面目がゆえ暴行事件にフタをして、真面目がゆえ協会の秩序を乱した貴乃花親方を袋叩きにしたのだ。
ワケわからんことを言うなと思うかもしれないが、実はこの「真面目」というのは今、日本で起きている組織の腐敗、不正行為などのすべてに相通じる「病」である。最近の官僚の不正行為、少し前に続発したデータ改ざん問題などすべて組織にいる人々が「真面目がゆえ」に起きたという側面もあるのだ。
神戸製鋼でも、日産でも、三菱自動車でも、データ改ざんなどに関わったのはみな真面目な現場の技術者だ。不正会計を行って大きな批判にさらされた経営陣も、部署の数値をかさ上げした中間管理職も、みな会社の未来を真剣に憂いていた真面目な東芝マンたちだった。
マスコミや野党が「史上最大の犯罪」だと大騒ぎしている森友問題でも、佐川・元財務省理財局長も真面目だからこそエリートコースを進むことができたわけだし、その周りで改ざんや口裏合わせに奔走した職員たちも、みな真面目な公僕だ。
つまり、周囲からも犯罪者扱いされ、三度のメシより不正が好きみたいな人が組織の不正や不祥事をひき起こすケースというのはかなりまれで、ほとんどはその組織内で与えられた仕事を、愚痴をこぼすことなく黙々と取り組むような「真面目な組織人」たちが、不正に手を染めたり、社会から大ヒンシュクを買うような不祥事を起こしたりというパターンが圧倒的に多いのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング