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» 2018年04月30日 06時30分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:【訂正版】タイムズのカーシェアと提携するトヨタの狙い (1/3)

トヨタ自動車がカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」を運営するパーク24との提携を発表した。この背景にはトヨタの複雑で大掛かりな戦略が見えてくるのだ。

[池田直渡,ITmedia]

【筆者より】

 先週掲載した記事に対して、18年4月27日にトヨタ自動車から事実誤認の指摘がありました。

 同記事は、トヨタ製の通信機能付きドライブレコーダー「TransLog」がJPN TAXIに標準搭載され、すでに稼働しているとの認識で書かれておりますが、実際にはTransLogのJPN TAXIへの搭載は、18年4月27日現在事務レベルでの調整中です。また同システムによる情報収集についてはタクシー会社との合意が必要であり、TransLogの搭載は、現時点では旧型タクシー車両での500台の実証実験に限定されております。

 これは昨年10月のJPN TAXIの初お目見えである「JPN TAXI発進式」取材の折にトヨタが「未来ビジョン」として説明した技術を、筆者がJPN TAXIによって実現されると誤認したことによるものです。

 先週の記事は多くの読者に読まれており、すでに掲載から時間が経過しているため、今から記事に訂正を加えても、多くの読者の方々に不正確な情報をお伝えしたことの訂正として不十分であると考え、筆者がITmedia ビジネスオンライン編集部に訂正記事の再掲載を願い出て了解を得、本記事を改めて掲載していただくこととしました。

 多くの読者の皆さまに不正確な情報を提供し、関係各所の皆さまにご迷惑をお掛けしたことについて深くお詫び申し上げます。


 4月3日。トヨタ自動車はカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」を運営するパーク24と、新サービス開発を視野に入れたトライアルの合意を締結した。

カーシェアリングサービスは現時点の代表的なMaaS。最大手のタイムズカープラスはパーク24の運営 カーシェアリングサービスは現時点の代表的なMaaS。最大手のタイムズカープラスはパーク24の運営

MaaSへの回答

 ここしばらく頻繁に耳にするMaaS(Mobility as a Service)とは、クルマそのものの販売ビジネスではなく、クルマを利用するサービスを提供するという新たなビジネスモデルを指す。しかしながら、トヨタが発表したリリースの行間を補っていくと、そこにはトヨタの複雑で大掛かりな戦略が見えてくる。今回はそのバックグラウンドについて説明していこう。

 そもそもカーシェアリングを単純な時間貸しのレンタカーサービスと考えていると、ビジネス規模を見誤る。カーシェアリングがこれまでのサービスと異なるのはさまざまな産業とのシナジー効果によって、これまでと違うビジネスモデルを構築する可能性があるからだ。

 山奥の温泉旅館が最寄駅までの送迎バスを用意するのは、来客の利便性を図ることで、本業の旅館ビジネスの利益を増やすためだ。当たり前の話である。では、例えば他の業種だったらどうだろうか?

MaaS(Mobility as a Service)によって自動車ビジネスは大きく広がり、これまで考えられなかった巨大な市場を持つことになる MaaS(Mobility as a Service)によって自動車ビジネスは大きく広がり、これまで考えられなかった巨大な市場を持つことになる

 皆さんご存じの家具専門店「IKEA」は配送料金を別設定することで、商品単価を下げている。自分がクルマで運び、自分で組み立てるから安い。だが、IKEAに行って一目惚れした商品を気軽に積んで帰って来られるクルマを持っている人はほとんどいない。

 仮に自宅近くのカーシェアでハイエースを借りてIKEAに行けたら随分と便利である。カーシェアはGPSによるロケーション機能を持っているので、IKEAに行ったかどうかは運営会社側ではリアルタイムで分かる。レジで精算後、レシートに印刷されたバーコードをスマホで読み取り、それによって1時間とか2時間とかの料金が無料になったら、持ち帰り方法の制約で商品購入を見送っていた顧客が購入に至る可能性は高い。

 実際調べてみると、来店方法が電車とクルマでは客単価が全く違う結果が出ているという。つまり売り上げを大幅に増やす施策として小売業がカーシェアを使う可能性はとても高い。

 地方のショッピングモールや、街道沿いのチェーン系小売店も皆同様の方法がとれる。すでにわれわれエンドユーザーには仕組みの全貌が見えないところで、ビジネスは動き始めようとしている。クルマを所有しない人が増えつつある現在、新たなビジネススキームとして非常に有望視されているのだ。

 利用料金の設定や、その根拠となる購入傾向などを詳細に分析するためには、どんな人がいつどこで何を買うかを詳細に分析しなくては精度が上がらない。アマゾンのリコメンドのように他の購入実績から新たにユーザーがどんなものを買おうとしているかを推察することが求められる。仮にIKEAでの買い物で「この人は引っ越ししたばかり」だという分析ができれば、新しい家電が必要になる可能性はある。そこで「カーシェアでクルマを借りて○○電器に冷蔵庫を買いに来たらパックで○○円」というメッセージをアプリ経由で送ることが可能になる。

 実際、パーク24はここまでビッグデータを活用して成長してきた。だが、本業のクルマの貸し出しで、どこにいつ利用したい人がいるかという領域を超えて、多くの小売業と協業しながら消費動向の分析にまで立ち入ろうとすると、恐らくシステムとデータ分析の負荷が巨大になり過ぎる。トヨタはそこにリソース提供をしようというのである。

 もちろんこれは先行テストであり、これによって得られた成果をさまざまな業種に展開していく目論見をトヨタは持っている。その行き着く先は今年初めの見本市「CES」で発表した「e-Palette Concept」だろう。

「e-Palette Concept」は自走可能な箱。箱の物理サイズに入るものであれば、バスやトラックなどの人と物流、レストランや小売店、ホテルなどのサービスを組み込むことができる 「e-Palette Concept」は自走可能な箱。箱の物理サイズに入るものであれば、バスやトラックなどの人と物流、レストランや小売店、ホテルなどのサービスを組み込むことができる
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