政府が宣伝しているのに、中国の「好感度」が上がらないのはなぜか世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2018年10月04日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 「残念なことに、中国が11月の中間選挙に介入しようと試みていることが分かった」

 9月26日、国連安全保障理事会でドナルド・トランプ米大統領がそう発言して話題になっている。トランプは続けて、「彼らは、私が貿易問題で中国に盾突いた初めての米大統領だから、私、あるいは共和党に勝利してほしくないのだ」とも述べている。

 この翌日には、その根拠となるような話を、写真入りでTwitterにアップ。中国国営英字紙チャイナ・デイリーの写真とともに「中国は実際に(アイオワ州の地方紙)デモイン・レジスター紙や他の新聞で、ニュース記事のように見せたプロパガンダ広告を入れている」というメッセージをポストした。

 こうしたトランプの発言は、11月の中間選挙に向けたアピール以外の何物でもない。また米国のテリー・ブランスタッド駐中国大使も9月28日、「中国政府は、プロパガンダを広めるために、米国が守る言論と報道の自由という伝統を利用している」と発言している。こちらは中国だけでなく、トランプを意識したアピールだと見ることができるだろう。

 もちろん、中国によるプロパガンダは実際に行われているし、そもそも今に始まったことではない。最近、中国が世界的にイメージ向上を狙ったプロパガンダを強化していることも確かだ。だが、実は中国のプロパガンダは、トランプが懸念するほどの力はなく、成果も出ていない、というのが実情だと言える。そこで、世界に対する中国の「プロパガンダ」の実態について探ってみたい。

photo 世界で展開されている中国のプロパガンダ。その実態とは?(写真提供:ゲッティイメージズ)
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.