「日本の企業はおかしい。欧米の企業から見たら……」ベネッセ・原田氏の働き方(3/5 ページ)
ワークライフバランスの課題に関する議論は、さまざまな立場で行われている。しかし、日本人のワークライフバランスは改善されているのだろうか。ベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長に、社員の働き方について聞いたところ……。
経営者の意識改革に加え、ビジネスパーソン自身もライフスタイルを変えること
日本のビジネスパーソンはとにかく残業が多い。一方、こうして無駄な残業で長く会社にいて仕事をした社員が褒められる文化があるのも現実だ。結果を生み出すための効率が重視されるのではなく、結果よりもいかに会社に忠誠心があるかが社員の評価に繋がる場合さえある。“安いコストで、長く働く人が重宝される”という意見もあるほどだ。
しかし、グローバルで見たらどうだろうか。かつて原田氏が日本法人社長を務めたアップル社も、世界のインターネットの覇者になったグーグルも、過労死者が出るような長時間労働で成長したわけではないだろう。世界を変革するような価値の創造によって急成長を遂げ、かつて世界経済をリードしていた多くの日本企業を軽々と抜き去っていった。日本の企業社会も、こうした会社のあり方、働き方のグローバルスタンダードから学ぶべきなのではないだろうか。
ちなみに、こうした考え方を前提に、原田氏も自身のワークスタイル、ライフスタイルを変えてきたという。「私も60歳を前にして、猛烈に運動を始めた。東京マラソンにも5回出場して、トライアスロンにも挑戦した。毎日、朝4時から1時間でメールのチェックをして、5時からランニングをしている。この朝起きてから1時間のメール処理の生産性はものすごく高く、朝5時からランニングしながら聞くニュースの情報収集は一番質が良い。早寝早起きすると、1日の効率が劇的に変わる。仕事も、早くスタートして早く終わることが、働き方を変える第一歩ではないか」
経営者の意識改革に加え、ビジネスパーソン自身もライフスタイルを変えることが、ワークライフバランスを改善する重要な一歩になるのだ。
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