トランプ時代に“貧弱なパスポート”はどれか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
トランプ大統領の「イスラム教徒の入国禁止措置」が話題になっている。イスラム教徒が多い7カ国の人たちの入国を一時的に禁止したわけだが、実はパスポートには強さのランクがあるのをご存じだろうか。強いパスポート、弱いパスポートを検証したところ、入国禁止措置の疑問点が見えてきた……。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
世界的にドナルド・トランプ大統領の話題が連日大きく取り上げられている。いま特に注目なのは、選挙戦からずっと主張してきたイスラム教徒の入国禁止措置についてだ。
2月3日には、ワシントン州の連邦地裁が、イスラム教徒が多い中東やアフリカの7カ国の人たちの入国を一時的に禁止したトランプの大統領令について、その効力の停止を全米で命じる仮処分を決定した。この判断が、混乱をさらに深めている。
ただ冷静に見れば、メディアが反トランプに偏っている感は否めない。この入国停止措置には、賛成よりも反対の声のほうが圧倒的に大きいように感じるが、米国民を対象にした世論調査では半数近くがこの措置を支持している。また、ワシントン州の判断と同じくして、一時的に大統領令を停止していたマサチューセッツ州の連邦地裁は、トランプの措置が合法だとする判断を下している。
トランプ寄りのマサチューセッツの判断は、あまり大きく報じられていない。トランプをめぐっては、こうした偏った報道も見受けられるようになっているため、今後もこのコラムで冷静に動向を追っていきたい。
とにかく今、米国を中心にして、世界では「海外渡航」が話題のキーワードになっている。そもそも、今回のトランプによる入国停止措置のように、世界を見渡せば、他国へ入国する際には持っているパスポートによって扱いがぜんぜん違う。例えば、イスラエルへの出入国スタンプがパスポートにあると、アラブ圏では入国できない国もある。
パスポートには強さのランクがある。そこで今回は世界で最も受け入れられやすい"強い"パスポートとはどんなものなのかを検証したい。実はそこからトランプの禁止措置の現実も見えてくるのだ。
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