Google提唱の働き方改革 企業はどう変わる?:独身男性社員にも効果が(2/2 ページ)
Googleが働き方改革プロジェクトを進めている。トライアルに参加した31社延べ2000人の意識は、どのように変わったのか?
「Googleのツール必須」というわけではない
Google主導の取り組みだが、トライアルではGoogle製品の利用に限るといったことはしなかった。
「もちろんGoogleのツールを使ってもらえればありがたいが、必ず使ってほしいというよりは、ITで解消できるということを試してみてほしかった。意外に日本企業には、ツールが導入されている場合がある。まずはそれを活用してもらえれば」(Googleブランドマーケティングマネジャー山本裕介氏)
例えばコミュニケーションツールなら、Google ハングアウト、Skype for Business、Slack、Chatworkなどを各社提供している。全社、あるいはチーム単位で、既に導入している企業も少なくない。また、スケジュール管理ツールや進捗管理ツールも一部で入ってはいるものの、活用しきれていない……といったケースも多い。「絶対にこのツールでなければダメ」ではなく、「まずはツールをチーム全員で使ってみて効果を確かめる」のがGoogleのトライアルだ。
働き方改革のための「HOW」を提供
「現状の日本には、働き方改革実践のための『HOW』がない」(GoogleCMO岩村水樹氏)ということが得られた知見の1つ。これに対応し、Googleは2つのコンテンツでサポートを行うことを決めた。
経営層・人事向けには、改革に必要な具体的なステップを紹介した「働き方改革推進ガイド」、社員向けにはeラーニングでポイントを確認できる「働き方改革実践トレーニング」をそれぞれ提供する。
プロジェクトの監修を務めるのは、中央大学大学院戦略経営研究科の佐藤博樹教授と、少子化ジャーナリストの白河桃子氏だ。白河氏は次のように語った。
「働き方改革は、ゼロから始めると2年くらいはかかる。その間に諦めないことがとても重要。トップダウンが効果的だが、トップが変わらない場合は部署、部門、チーム単位でも変わっていける。鍵となるのは管理職のおじさん層。管理職に『これはいい取り組みだ』と思ってもらえばサイクルが回る。働き方改革がうまくいけば、売り上げも上がり、人材も獲得できるようになる。離職率が下がり、社内出生率が上がる企業も出始めている」
働き方改革と聞くと、「女性ばかり得をしている」と本音では思ってしまう人も少なくない。「働き方が変わると、自分は損をする」と考えている人のワークライフバランスが改善されて初めて、働き方改革はうまく回り始めるのかもしれない。
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