厚労省、子育て支援企業認定の基準厳しく 過重労働防ぐ:基準に満たなければ取り消しも
厚生労働省が、「子育てサポート企業」認定(くるみん認定)を厳格化。労働時間に関する基準などが追加された。
厚生労働省は4月1日、「子育てサポート企業」認定(通称:くるみん認定)の認定基準を変更した。男性育休取得率の要件を「1人以上」から「7%以上」に引き上げたほか、新たに「労働時間」を認定基準に追加した。基準を厳格化することで、長時間労働が常態化する企業に認定を付与することを防ぐ狙いがある。
くるみん認定は、育児休業の取得率向上などの基準を満たした企業に対し、税制優遇措置などを設けるもの。認定を受けた企業は、2016年12月末の時点で2634社。
基準の変更で、認定を受けるには(1)フルタイム労働者の法定時間外労働時間の平均が各月45時間未満であること、(2)月平均の法定時間外労働時間が60時間を上回る労働者が0人であること――の2点が必要になる。
新基準が適用されるのは、4月1日以降に申請した企業のみ。既に認定を受けている企業は、旧基準での認定企業扱いになる。ただ、1度認定を受けた企業でも、2年連続して基準を満たさない場合は取り消しの対象になる。
最近、認定企業で過重労働問題が多発していることが改正につながった。電通は、15年12月に女性新入社員が過労自殺する事件が起きたため、16年11月にくるみん認定を辞退。パナソニックは、特に優良な企業を示す「プラチナくるみん認定」を受けていたが、16年6月に工場勤務の社員が過労死。17年3月に大阪労働局が認定を取り消していた。
同省は「本当の意味で、従業員の労働環境の整備に取り組んでいる企業を支援していきたい」(雇用均等・児童家庭局)と話している。
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