良い働き方には“上手なサボり方”も必要だ:常見陽平のサラリーマン研究所(1/2 ページ)
何でもかんでも効率的にと言われても、疲れてしまうのである。人を短時間競争に追い込むだけが働き方改革ではない。“サボり”にこそ、今後の柔軟な働き方のヒントが隠されているのだ。
「ビジネスパーソンたるもの、飲んだ次の日ほど、早く会社に来い!」
新人時代、よく上司や先輩からそう説教された。馬車馬のように働いた後、飲んで、歌って、タクシー帰りした後に早朝出勤している先輩はスゴいと思ったものだった。中には、「大統領のように働き、王様のように遊ぶ」なんてことを、一会社員なのにも関わらず真顔で言う先輩もいて、「スゴい世界に入ったな」と思ったものだ。
しかし、だ。会社員を辞めて、しばらく経ってから当時の関係者に会ってがく然とした。実は、遅くまで飲んで、早朝出社した後はサウナに出かけて午前中、ずっと寝ていたというのだ。デキるビジネスパーソンはよく働き、よく遊ぶと信じ込んでいた私にはショックだった。
なんてことを書くと、「この先輩はヒドい人だなあ」と思われたかもしれないが、個人的に恨んではいない。むしろ、大切な話を聞かせていただいた。政府が掲げる「働き方改革」という美名のもと、ビジネスパーソンは少ない時間で効率よく仕事をこなすことが期待されている。それ自体は悪いことではない。長時間労働で疲弊するよりは良い。とはいえ、何でもかんでも効率的にと言われても疲れてしまうのである。「それは社会人としてどうよ」と言われそうだが、息抜きながら生き抜かないと擦り切れてしまうのだ。
ここで、サボりの達人たちのテクニックをご紹介しよう。自分がサボるための技を修得できるだけでなく、他人のサボりを見抜くのにも役立つゾ。
サボりの達人たちのテクニック
- 「寝床を確保せよ」
サボりの王道は、寝ることだ。労働者には十分な睡眠時間が必要なのだ。ルールの範囲内で寝るなら、医務室などがオススメだ(自社にあれば)。実際、私も会社員時代、痛飲した翌日にはよく使っていた。また、会社員たるもの、いかなる状況でも寝ることができなくてはならない。社内規則のギリギリを攻めてこそ、困難に打ち勝つビジネスパーソンに成長できるのだ(成長しないかもしれない)。
私が見聞きしたところ、トイレ、会議室、営業車など、会社のリソースを最大限に活用するケースが目立った。さらには、漫画喫茶、フィットネスクラブ、映画館、サウナ、マッサージ屋など、あらゆる場所で寝てこそプロである。山手線を何周もするという手もある。なんとか、睡眠時間を確保せよ。そのために、柔軟に発想するのである。
- 「平日昼に遊び倒せ」
街には誘惑がいっぱいである。働くだけが人生ではない。遊ぶのだ。パチンコ、麻雀、ゲーセン、漫画喫茶、映画館など遊びの誘惑はいっぱいだ。平日昼のすいている時間に(少しだけ)遊んでこそ、プロだ。
- 「会社に行くな、家にいろ」
直行直帰を駆使して家に居座る。これもサボりのテクニックだ。会社から家が近い人は、ランチタイムに一時帰宅するという手もある。自主在宅勤務を実践せよ。
- 「デスクトップ上、スマホ上でサボるのが無難?」
ここまで少し過激なサボり芸を紹介してしまったが、普通の人にとっては、PC上、スマホ上で遊ぶのがバレにくいし、害もないことだろう。ゲーム、チャット、ネットサーフィンなどで息抜き。これが最も無難。しかし、会社のPCを使って遊ぶ場合、背後からの目線に要注意だ。遊んでいることがバレてしまう。できれば、背後に人が通らない席で、遊ぶことが賢明だ。
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