良い働き方には“上手なサボり方”も必要だ:常見陽平のサラリーマン研究所(2/2 ページ)
何でもかんでも効率的にと言われても、疲れてしまうのである。人を短時間競争に追い込むだけが働き方改革ではない。“サボり”にこそ、今後の柔軟な働き方のヒントが隠されているのだ。
業務との上手なやりくりが必要
まだまだ上級テクがあるが、この辺で。ふざけた話を並べてしまったが、次にちょっとだけ真面目な話を。サボるというのは、実際は、業務との上手なやりくりが必要である。いつもサボっていたら、それはサボりではなくなる。単なるダメ人間だ。
国家をあげた話題となっている「働き方改革」においては、「テレワークの推進」など柔軟な働き方が模索されている。“うまく自分でやりくりすること”が期待されているのだ。
例えば、先ほどご紹介したサボり術の「自主在宅勤務」で言えば、会社にいかなくてもできる仕事を家ですることで移動時間を減らし、効率的に仕事を進めることにもつながる。また、休憩や食事も好きなタイミングでとれる。もちろん、これを管理しようとする動きもある。ユーザーが業務システムにログインしているかどうかを厳格に管理するシステムなども現に存在する。うまくやりくりするためには、自社でこのようなシステムが導入されているかチェックしてから始めたほうがいいだろう。一方、テレワーク推進で先行している企業においては、あえて息抜きを推奨する動きもある。
人を短時間競争に追い込むだけが働き方改革ではない。サボりにこそ、今後の柔軟な働き方のヒントが隠されているのだ。
「えっ、真面目な話はもう終わり? もっと読みたいよ」と思われたかもしれないが、それは別の機会にでも。読む時間が長くなれば、サボることができなせんから。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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